正念場を迎える日銀

2018/02/16

正しい目標に対して適切な達成手段を行使していながら一向にゴールに届かないのだとすれば、やり方が足りないと考えるのが普通だろう。

デフレは誤った金融政策がもたらしたものだとし、それを克服するため、空前の規模のマネーを供給して物価上昇を実現させようとした政策は目標達成につながっていない。ならば一段と供給量を増やすのが筋であろう。だが、実際には大きく縮小している。年間増加額のメド80兆円に対して、足元の実勢は50兆円を割り込んでいる。

それは、今や政策の重点がマネーの供給から金利のコントロールに移っているからであろうが、金融緩和に金利を使うなら、金利は下げるのが筋だ。しかし下がりすぎるリスクに言及したりするから、実は金利を上げようとしているのではないかと疑いの目を向けられる始末だ。

金融政策にとって、間もなく新しい5年が始まる。何も変えないわけにはいかない。なし崩し的に量を減少させ、金利を上昇させるのは、異次元緩和の行き詰まりを意味する。手段が適切なものではなかっただけでなく、そもそも目標自体が誤っていたのではないかとさえ思わせる。

消費者物価を上げるべく、ただ円安を目指してきたように見える。2%の目標を引き下げると円高になると恐れているようだが、相場に影響するのは予想物価上昇率の内外格差だろう。達成不可能な目標を取り下げたとしても所詮、一時のショックにとどまろう。

デフレが諸悪の根源(原因)だという認識は、デフレから抜け出していないのに景気がよくなっていることで裏切られている。真に目指すべきは企業の稼ぐ力を高めることだ。その点の弱さがデフレ的現象をもたらしてきた。金融政策に過度の期待を持つことはそろそろやめた方がいい。

(2018年2月1日日本経済新聞・夕刊 『十字路』」より転載)

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