地域情報の発信・共有 新潮流にどう乗るか

2012/05/01
研究開発部(名古屋) 技術・情報政策グループ 主任研究員 萩原 達雄

多様化する地域情報の発信方法

地域情報の発信手段として、ツイッター(twitter)やフェイスブック(facebook)を採用する自治体が増えている(下表参照)。SNS(ソーシャル・ネットワーク・システム)の特性を損なわず、上手に活かしていこうと工夫されている(武雄市では市ホームページを完全移管させている)。
 ただ、手探りで運用がなされていることや、手段として未成熟な部分があるとされることなどから、その有効性を懸念される方もお見えだろう。しかし、国内の登録者数が1,000万人を越えるなど伸長著しく(フェイスブック社広報発表)、大きな可能性を持つ新たな情報発信ツールとして注目すべきと考える。

表 Facebookを活用する主な自治体 (2012年3月末時点にて筆者確認)

北海道 小樽市、登別市
東北 岩手県
関東 茨城県、桜川市、水戸市、つくば市、常陸太田市、宇都宮市、千葉市、小田原市、相模原市、甲府市
中部 七尾市、砺波市、あわら市、小諸市、岡崎市、知多市
近畿 吹田市、茨木市、芦屋市、大津市
中国・四国 玉野市、鳥取県、米子市、岩美町、宇多津町
九州・沖縄 武雄市、平戸市、熊本市、南城市

※上記以外に観光協会や商工会等が開設している事例は多数見られる。

受発信の充実が地域の発信力の充実につながる

前述の先行事例を1つ1つ見ていくと、自治体(地域)における効用として、
(1)地域住民自らが情報発信主体として活動できる場を創出できる
(2)目的を共通とする利用者同士の顔が見えるつながりを生みだす
(3)「いいね!」ボタンにより、利用者層の関心を直接的かつ即時的に確認・蓄積・共有できる
の3つが強調できる。
 SNSでの観光情報の発信といった外部に対する発信は、今後も増えていくと予想する。さらに、地域内での発信・共有手段として、SNSの活用を自治体の皆様にも検討いただきたいと考える。地域の等身大の情報を、利用者(住民)の反応を集約しつつ共有できる点は、一方通行になりがちであった行政からの情報発信に新たな経路をもたらすからである。
 前出の先行事例を一度眺めていただき、どのような活用がされていて、どのような反応(「いいね!」)を得られるのか確認いただきたい。”身近なテーマに思いがけず多数の反応があった”といった担当者評が得られると推察する。また、フェイスブックでは、自市町村内の性別・年齢毎のユーザー登録数を事前に把握することができる(ターゲット設定機能にて登録数が把握できる)点に注目したい。登録率に応じた活用方法やターゲットを絞り込んだり、自地域での開設を考える場合のコストをあらかじめ分析したりするなど、具体的な事業想定のアイデアも膨らみやすいのではと捉える。

常に働きかける仕組みで地域を巻き込む

東日本大震災以降、地域の絆を再構築することが重要であるとの指摘がされてきた。必要とする情報を、自ら選り分けることが求められる昨今。地域の身近なトピックを着実に伝えたいとする送り手側と、そうした情報を得たいとする側とのつながりを創出できる仕掛けづくりが重要となってくる。
 その手法として、SNSが1つの役割を担ってくれると強く感じている。自ら地域情報を発信できる手段として、また、情報発信の担い手として参加できる仕組みとして、自治体による先導にて取り込みを図る時機に入ってきたと考える。さらに、上手に活用することで、自治体におけるマーケティングの手段の1つになり得る点も付け加えたい。

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