人口動態からみた我が国都市の縮退の現況

2012/07/04
研究開発部(名古屋) 主任研究員 河合 修治

人口減少時代を迎え、我が国の都市では、逆スプロール化ともいうべき市街地の縮退への対応が求められるようになっている。
 本稿では、我が国の都市の縮退状況について、東京23区及び県庁所在地、政令指定都市を除く全国の市部を対象に、2005年から2010年の人口集中地区(DID)の動向から一義的な整理を試みる。

本稿での都市の縮退状況に関する定義(DID類型)

DIDの人口密度およびDID面積の変化から、対象都市を次の4類型に整理する。

  1. I 拡大成長:DID人口密度、DID面積ともに増加し、市街地が拡大している都市
  2. II 拡散:DID人口密度が減少しているが、DID面積が増加しており、低密な市街地が拡散している都市
  3. III 縮退:DID人口密度、DID面積ともに減少し、市街地が縮退している都市
  4. IV コンパクト化:DID人口密度が増加しているが、DID面積が減少し、市街地の高密化が進んでいる都市

本稿での都市の縮退状況に関する定義(DID類型)

人口動態からみた都市の縮退状況

人口増加率×DID類型

2005年から2010年の人口増加率とDID類型の分布を図1に示す。増加都市ほど「I拡大成長」傾向が、減少都市ほど「II拡散」「III縮退」傾向が強くなっている。さらに増加率が大きい都市(±5%以上)を抽出して整理したものが図2である。これより、増加率が大きい都市ほど「I拡大成長」傾向が、減少率が大きい都市ほど「III縮退」傾向が強くなっている。

人口規模×DID類型

2010年の都市の人口規模とDID類型の分布を図3に示す。人口規模が小さいほど拡散し、規模が大きくなるにつれ、軸の中心部に集約して分布する傾向にある。表1のDID類型別構成比でみると、人口規模が小さくなるほど「III縮退」に特化し、人口規模が大きくなるほど「I拡大成長」「IVコンパクト化」に特化する傾向がみられる。また、図4の2010年の人口増加率と人口規模の分布をみると、人口10万人程度までは、人口規模が小さい都市ほど減少傾向が高くなっていることから、人口規模が小さい都市ほど「III縮退」傾向が強くなっていることが伺える。

都市の縮退は、市街地周縁部や郊外部の低・未利用地拡大による居住環境の荒廃や、市街地内でのモザイク状の低・未利用地の分布による非効率な土地利用などをもたらすと言われており、我が国の地方中小都市においては、それら都市の縮退に係る課題が顕在化しつつあることが推察される。今後、我が国の多くの都市が人口減少へと移行することが予想されていることから、増加域にある都市においても、今後の人口減少、縮退を見込んだ計画づくりが必要であろう。

図1 人口増加率×DID類型

図1 人口増加率×DID類型

※東京23区、県庁所在地、政令市を除く全国市部
出所)平成17年国勢調査、平成22年国勢調査をもとに作成

図2 人口増加率(±5%以上)×DID類型

図2 人口増加率(±5%以上)×DID類型

※東京23区、県庁所在地、政令市を除く全国市部
出所)平成17年国勢調査、平成22年国勢調査をもとに作成

図3 人口規模×DID類型

図3 人口規模×DID類型

※東京23区、県庁所在地、政令市を除く全国市部
出所)平成17年国勢調査、平成22年国勢調査をもとに作成

表1 DID類型別構成比

表1 DID類型別構成比

※東京23区、県庁所在地、政令市を除く全国市部
※網掛けは全国よりも特化傾向となっている項目
出所)平成17年国勢調査、平成22年国勢調査をもとに作成

図4 人口増加率×人口規模(2010年)

図4 人口増加率×人口規模(2010年)

※東京23区、県庁所在地、政令市を除く全国市部
出所)平成22年国勢調査をもとに作成

 

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