日本の起業環境に変化あり

2012/10/23
経済・社会政策部 主任研究員 杉原 美智子

 最近ベンチャーという言葉が取り上げられる機会が減っているように思う。最近ではシリコンバレーに倣って起業したばかりの企業のことをスタートアップと呼ぶ。本稿では、我が国のスタートアップを取り巻く環境と新たな希望の光とも言える動きについて取り上げたい。

1.起業家を支えるベンチャーキャピタル

 2000年前後に起きたITベンチャーブームから10年以上を経て、ここ数年日本ではビジコンブームと言われるほど多数のビジネスコンテストが開催され、中には投資を前提とした本格的なコンテストも開催され、多くの起業家の卵達が集まっている。 Y Combinator等、米国のベンチャーキャピタルでは、スタートアップに数百万規模の投資を行い、数か月間開発に専念させ、起業家を指導して育て上げる。数か月後には、一流のベンチャーキャピタリスト達が揃う前で起業家がプレゼンする場が用意され、更なる資金調達の機会を得ることができる。起業家側からすると、数ヶ月後には複数のベンチャーキャピタルの前でプレゼンする機会が得られるため、その数ヶ月間は安心して開発や事業計画のブラッシュアップに集中することができる。  こうしたベンチャーキャピタルはスタートアップ・アクセラレーターとも呼ばれ、日本でも2011年頃から独立系のベンチャーキャピタル等に同様の動きが見られる。

2.課題と新たな動き

 しかし、ベンチャーキャピタルから得た初期の数百万の資金では足りず、次の資金を得る前に失速してしまうケースも見られ、この「次の資金調達」が問題視されていた。原因については、日本国内におけるリスクマネーの不足や、そもそも初期の投資段階での資金調達量が少ないこと、株式の希薄化の問題、ベンチャーキャピタルの力不足とさまざま言われている。  こうした諸々の課題を乗り越えるため、国内においても数十社のベンチャーキャピタルやコーポレートベンチャーキャピタルが集まる場で、起業家がプレゼンを行える「次の資金調達」の機会を提供するベンチャーキャピタルの動きもある。ベンチャーキャピタルの淘汰も進むなか、残るベンチャーキャピタルのこうした動きに期待したい。

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