森林法改正に伴う新たな森林経営計画の解説

2012/11/22
研究開発第2部(大阪)地域・環境戦略グループ 主任研究員 前田 滋

 平成24年4月、森林法が改正され、森林所有者や森林管理者が策定していた森林施業計画が森林経営計画という新制度になった。それに伴い新たな助成金の制度である森林管理・環境保全直接支払制度が導入された。これらの制度変更について解説する。

 第一に、新たな森林経営計画の種類は、属人計画と属地計画の2種類となった。

 属人計画とは、所有面積が100ha以上の森林所有者が作成する。複数の市町村に広がる所有森林の計画は都道府県、複数の都道府県に広がる所有森林の計画は国が認定する。ここで、これまで複数の所在地で、それぞれ地元の森林組合に任せていた計画を一本化する必要があり、どの森林組合で対応可能か確認が必要である。場合によっては、所有者が自ら森林経営計画を作成する必要がある。

 属地計画とは、林班という100haほどの区画の半分の所有者か共同、もしくは経営の委託を受けた者が作成する。こちらは地元の森林組合などが各所有者から経営委託を締結し申請することになると思われる。しかし、森林組合などは、小規模の森林所有者の委託契約の締結手続きに追われ、森林経営計画の策定が遅れており、直接支払制度への完全以降に間に合わない可能性もある。

 森林経営計画の認定要件は、長期方針、現況、伐採・造林等の計画、森林保護、共同化、路網整備、経営規模の拡大である。特に間伐の実施面積には下限が設けられた。基本的には市町村で定められた間伐の間隔通りに間伐する必要がある。これまであまり積極的に森林整備を行っていない所有者は、今までの数倍の面積を毎年間伐しなければならなくなり、実行可能性を検討すべきである。

 第二に、これまでの助成金制度に代わり、森林管理・環境直接支払制度が導入された。間伐に対する直接支払は、間伐面積が5ha以上かつ平均搬出量が10㎥/ha以上の搬出間伐が対象となる。よって、これまで広く行われてきた切り捨て間伐といわれる木材を搬出しない間伐が助成金の対象外となり、平均搬出量が大きなハードルとして加わった。ここで注意が必要なのは、支払い対象は森林所有者ではなく森林経営計画の認定を受けた者となることである。森林を所有しているだけでは直接支払は受けられない。トラブルとならないため、経営委託する場合、経費負担や利益還元など、契約内容の確認が必要である。そのほか、所有者が自ら森林経営計画を作成する場合や近隣の所有者と森林経営計画を策定する場合に、森林整備地域活動支援交付金が受けられ、隣の所有者と共同で行う集約化に必要な森林調査などが支援される。

 このように、以前と比べて森林経営計画制度はかなりハードルの高い計画となった。自ら森林所有者が森林経営計画を作成し経営するか、森林組合などに経営委託する必要があり、所有森林をどうするかの選択が必要となる。

 木材価格低迷の中、独立採算で林業を経営することは非常に困難であり、直接支払制度を適切に活用することは非常に重要である。

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