日本のエネルギー政策動向(前編)

2012/11/28
環境・エネルギー部 主任研究員 宗像 慎太郎

福島第一原発事故と中長期的な世界のエネルギー需要の増大を背景に、日本のエネルギー政策は見直しを迫られている。インフラ投資と組織整備には長期ロードマップが必要だが、政権及び電力行政・産業に対する不信の中、議論の収束する気配はない。本稿では日本のエネルギー政策について、現在までの議論と今後の展望を示す。

日本のエネルギー政策の変遷

安定供給、経済性及び環境配慮というエネルギー目標間の対立を、日本は原子力依存を高めることでクリアしてきたが、震災後は明確な反原発の社会動向が勢いを得ている。

日本のエネルギー政策の経緯の概略を図 1に示す。元々エネルギー資源に乏しい日本では、エネルギーの安定供給を確保することの政策順位が高かった。そしてオイルショックを乗り越えてからはエネルギーの経済性が、1990年代以降の温暖化論争の高まりのなかでは環境配慮が、2000年代の新興国でのエネルギー需要の高まりの中では改めて資源確保の強化が重要なテーマとなった。

この間の日本のエネルギー需給を見ると、2009年度の一次エネルギー供給は1970年の約1.7倍、電力は約3倍に伸びた。この電力需要増を支えたのがLNG火力発電と原子力発電の増加であった。特に原子力は急伸し、2000年代には一次エネルギー供給の1割、電力供給の3割まで成長した(エネ庁2011a)。その間スリーマイル島事故、チェルノブイリ事故、JCO事故があり、その都度原子力の安全性を疑う声も上がったものの少数意見に留まり、日本国内では原発推進を留めるまでは至らなかった。

この流れは福島第一原発事故で一変し、エネルギー政策の目標に安全・安心の観点を明示的に盛り込む必要性が、社会全体で強く主張されるようになった。2012年に民主党政権が打ち出した一連の「国民的議論」では、2030年には原発ゼロを目指すべき、という意見が多数を占めた(戦略室2012)。これらの意見が公式な手続きで集められたこともあり、現在では反原発が日本社会の主たる意見である、と言える。


図 1 日本のエネルギー政策の変遷
(資料)エネ庁2011b

以上のように原子力への信頼は毀損し、原発に依存した従来型のエネルギー政策は支持を得られない見通しである。このことは2030年までの日本経済に正負両方の影響を与えると見られる。

後編に続く

【参考文献】
エネ庁2011a:資源エネルギー庁.平成22年度エネルギーに関する年次報告.2011年10月28日.
エネ庁2011b:資源エネルギー庁.震災後のエネルギー政策の展望について.2011年11月21日.
戦略室2012:国家戦略室.国民的議論に関する検証会合の検討結果について.エネルギー・環境会議第13回会議,資料1-2.2012年9月4日.

前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890