学校給食センターPFI導入のポイント

2012/12/04
研究開発部(名古屋) 主任研究員 太田 勝久

平成14~20年度と比べ、近年(平成22~23年度)のPFI実施件数はやや少ない状況である。こうした中、堅調に件数を重ねる分野として学校給食センターがある。(下図参照)

図 PFI事業実施件数の推移(実施方針公表済事業)

(出典)PFIインフォメーションより三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)作成

その背景には、学校給食センターの老朽化に伴う建替需要、衛生管理の高度化や財政難による学校給食サービスの効率化及び市町村合併に伴う行政サービスの一律化といった行政側のニーズの他に、これまで民間委託が行われるなど民間ノウハウが活用可能な分野でありかつ民間側も今後更に事業機会の拡大につながる分野であるといった事業上の特性があり、官民双方のニーズの合致によってPFI導入が進んでいると考えられる。

今後も学校給食センターへのPFI導入は継続するものと考えられるが、導入にあたり次の点に留意することが事業を円滑に遂行するには重要である。

(1)PFI導入目的を明確にする

学校給食センター事業にPFIをなぜ適用するのか、その理由及び導入目的を明確にする必要がある。導入理由及び目的は、行政から民間事業者に対するメッセージになり、それを踏まえ民間事業者はより良い事業にするために、自ら有するノウハウをいかに発揮できるかを工夫し提案することとなる。これが不明確だと良い提案は受けにくい。

(2)栄養士等現場の意向を把握し、PFI事業者に要求する業務内容や水準を明確にする

公募書類作成段階で、栄養士等関係者の意向を把握し、公募要件に反映させることが重要である。これにより行政内部関係者の事業への理解になるとともに、事業者選定後のトラブル防止にもつながる。さらに、不明確な要求水準は解釈に誤解が生じやすく事業開始後のトラブルの原因となるため、業務水準の明確化は重要である。

(3)運営業務は総合力、配送・回収業務を軽視しない

学校給食センターPFI事業は、複数分野の企業が関わる事業であり、より効率的かつ効果的な事業を実現させるためには、各業務を総合的にマネジメントする機能と関係者間のコミュニケーションが重要である。中でも配送・回収は、施設内の業務ではないため軽視されがちであるが、2時間喫食を遵守するためには、施設の規模・設備配置、運営体制、調理工程等の全ての計画に影響するためその立案がポイントとなる。

(4)競争環境を整える

競争環境を整備することは、価格競争力、民間事業者による提案のより一層の工夫が期待される。そのためには、民間事業者の意見を聴くこと、適切な業務範囲を設定すること、業務内容と整合した予定価格を設定すること、特定企業に配慮した要件を設定しないことが重要である。

「学校給食センター」という同一分野の事業であっても、その中身は個々の事業により異なる。
 PFIは、あくまでも事業遂行のための手段であり、絶対的な手法ではない。そのため、PFIとして選定する際には、なぜPFIを採用するのかその目的を明確にすることが重要であるとともに、PFIそのものを理解すること、及び当該事業の特性を把握することがPFIを有効に機能させる上で重要である。

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