特定商取引法改正を踏まえたリユース業界の取組

2013/01/09
環境・エネルギー部  主任研究員 加山 俊也

リサイクルからリデュース・リユース(2R)へ

 2000年に制定された循環型社会形成推進基本法において、施策の柱となっているのは3Rに関連する取組みである。3Rは、法律でその優先順位が定められており、発生抑制Reduce(リデュース)、再使用Reuse(リユース)、再生利用Recycle(リサイクル)の順に進めるとされている。

 20124月に第4次となる環境基本計画が閣議決定され、それを踏まえ新たな循環型社会推進基本計画の策定(第3次計画)が進められているところである。第4次環境基本計画において循環型社会形成に関連した重点的取組事項の1つに「2Rを重視したライフスタイルの変革」が明記され、より優先すべきとされるリデュース・リユース(2R)に関する施策強化が進められようとしている。

 本稿では、リデュース・リユース(2R)のうち、特に中古品を取り扱うリユース業界の動向について報告する。

貴金属等に関する“押し買い”による消費者とのトラブル、特定商取引法の改正

 平成22年度以降、消費者宅等に押しかけた事業者が貴金属等を強引に買い取るというトラブルが急増したことを踏まえ、平成248月「特定商取引に関する法律の一部を改正する法律」が交付された。これは不要なものを買い取るとの趣旨で訪問した事業者が、販売する意志がない貴金属類についても無料で査定・鑑定すると執拗に迫り、強引に安価な価格で買い取っていくものであり、被害者の多くは女性や高齢者であると報告されている。

 このようなトラブルの増加を踏まえ、特定商取引法において、消費者とのトラブルが生じやすい取引として「訪問購入」を追加、不招請勧誘の禁止(招かれずに買取の勧誘をする行為の禁止)、契約書面等の交付義務、クーリング・オフ(契約書面交付から8日間、売買契約の申込みの撤回・解除が可能)などを定めた改正法が交付された。

 現在、法律の規制対象としない物品及び適用除外とする取引態様の案などに関するパブリックコメントが募集されており、その結果を踏まえて施行される予定となっている。

特定商取引法の改正を踏まえたリユース業界への影響

 リユース業は、消費者・事業者から中古品・リユース品を仕入れ(買取)、必要な清掃・メンテナンス・修理を施した上で、再販するサービスである。上述のような消費者とのトラブルを起こしている“押し買い事業者”は、中古品を取り扱うリユース事業者ではなく、詐欺師や強盗といった表現の方が適当と思われる悪質な個人・事業者が大半であり、また多くが不招請勧誘(呼ばれていないのに訪問し勧誘する)であると言われている。

 特定商取引法の改正は、もともとは貴金属等の訪問買取り、押し買い事業者への対策であったものが、原則全品、招請・不招請のいずれも対象が拡大したことによってリユース業にも大きな影響が及ぶと推測される。例えば、クーリング・オフに対応するためには、消費者から買取した中古品・リユース品を最低8日間は保管しておく必要があり、これらの保管・管理に追加的なコストが必要となる。

リユース事業者の自主的な取組の更なる推進・強化への期待

 リユース事業者は消費者からの要請を受けて訪問し、中古品・リユース品を査定、消費者がその査定結果に納得した場合のみ買取契約が成立する。一方で、消費者から見れば「中古品を買い取る事業者」という点では“押し買い事業者”と区別しにくいことは否めない。

 リユース業界においては、押し買い事業者をはじめ、トラブルを起こす悪質な事業者との違いを明確化し、消費者から安心して取引ができるリユース事業者として認知・理解されることが重要である。リユース事業者の業界団体には日本リユース業協会(JRAA)、ジャパン・リサイクル・アソシエーション(JRCA)、日本リユース機構(JRO)といった団体があるが、これらの団体では、従来より、消費者に安心して中古品・リユース品の売却・購入をしてもらうことを目指し、様々な自主的な取組を進めているところである。これらの取組を更に推進・強化していくことで、不適切な事業者との差異化を図っていくことが望まれる。

 リユース市場が拡大傾向にある今、消費者にリユースを定着させ、更なる利用拡大を図るためには、リユース業界として消費者のニーズに対応したサービスに努めるとともに、消費者が不安に感じている点を解決・改善し、これまで以上に安心してリユースショップを利用できるよう努めていくことが求められる。

 

リユース業界団体における主な自主的取組の概要

業界団体 自主的取組の概要

日本リユース業協会(JRAA

■優良店認証制度
・会員企業向けの優良店の認証制度。ガバナンス等社内体制、法令違反・反社会勢力との関わり等、法令遵守体制を審査。
■リユース検定制度
・法令遵守や環境に関する知識を有する人材を育成する検定制度。
■訪問購入に関する行動指針の検討
・特定商取引法の改正を踏まえて作成する行動指針を作成中。

一般社団法人ジャパン・リサイクル・アソシエーション(JRCA

■優良リユース販売店認証制度
・会員企業を対象とした優良店の認証制度。販売する商品への点検・清掃、一定期間以上の保証を義務付ける。
■リユース契約書の締結の促進
・一般消費者とのトラブル防止のため、契約書締結等の呼びかけを実施

一般社団法人日本リユース機構(JRO

■リユース電子マニフェスト制度
・リユース製品を引き取ってから、エンドユーザーに再販するまで、いつ・どこで・どのような取扱いとなっているか、個別に管理する仕組み。
■リペアセンター構想
・品質基準を設けて修理・清掃・メンテナンスの実施。(試験実施中)

 

※最新の情報・詳細は、各団体ウェブサイトなどを参照。
 ・日本リユース業協会(JRAA)(http://www.re-use.jp/(外部リンク)
 ・一般社団法人ジャパン・リサイクル・アソシエーション(JRCA)(http://www.jrca-reuse.com/(外部リンク)
 ・一般社団法人日本リユース機構(JRO)(http://www.jro.or.jp/(外部リンク)

出典)環境省「平成23年度使用済製品等のリユース促進事業研究会報告書」などをもとに筆者作成

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