『施策立案に対話文化を』 (2)フューチャーセッションの実践から見えるもの

2014/07/24
環境・エネルギー部 研究員 小川 拓哉
研究員 松岡 夏子
経済社会政策部 主任研究員 杉原 美智子
副主任研究員 家子 直幸

「フューチャーセンター」をキーワードとした記事の第2回として、弊社における「フューチャーセッション」の実践を通して得られた、開催時のポイントを紹介する。

捨てるが変わる、暮らしの未来弊社では「ごみ問題を考える」をテーマとしたフューチャーセッション「捨てるが変わる、暮らしの未来」を2013年10月1日と、11月5日の2回に亘って開催し、セッションの効果を検証した。

■「捨てるが変わる、暮らしの未来」の概要

本セッションは、「ごみをなるべく出さない生活」をサポートする仕組み・サービスを見つけ出すことを目的として実施した。

第1回は、循環型社会と未来のライフスタイルを考えるセッションとして、参加者は未来の消費者像を考え、その暮らしが循環型になるために必要なサポート、サービスについてアイデアを出し合った。
第2回は、ごみを増やす人のプロファイリングを行うために「ごみ星人」という仮想の人物を設定し、「ごみ星人」が出すごみを減らすために必要なサポート、サービスについてアイデアを出し合った。

2回のセッションは、ごみ問題に関心のある自治体職員、NPO職員、環境関連の事業者、学生など延べ約50名が参加した。
いずれのセッションも、趣旨説明のオープニング、チェックイン、個人ワーク、グループワーク、共有の流れで実施した。

■第1回セッションのプログラムとアウトプット

「未来の消費者像を考える」というテーマで、ワールドカフェを行った後に、20年後の2023年の「自身の消費者像」をワークシートに記入していただき、関心・テーマの近い人同士でグループを作って、これから増加が見込まれる「ごみ」とその「ごみ」を減らすために必要な「サポート・サービス」について、意見を出し合った。

図表.第1回セッションのプログラム
図表.第1回セッションのプログラム

グループワークでは、使えなくなったものを修理してくれる「リペアマイスターネットワーク」を作って、ものを長く使える仕組みを構築するというアイデアや、買う時に捨てた後のことも知れる「トラッカブル」というサービスを製品につけるといったアイデア、地域でいろいろなものをシェアする「共同倉庫」を作るといったアイデアが出された。

図表.第1回セッションのアウトプットの例
<アウトプット(1)>
図表.第1回セッションのアウトプットの例 アウトプット(1)
<アウトプット(2)>
図表.第1回セッションのアウトプットの例 アウトプット(2)

 

■第2回セッションのプログラムとアウトプット

参加者から新しいアイデアを引き出すために、ごみを出している悪い存在である「ゴミ星人」という象徴的な存在をグループでプロファイリングしてもらった後に、ワークシートにグループワークで「ゴミ星人」を倒すための方法を取りまとめてもらった。

図表.第2回セッションのプログラム
図表.第2回セッションのプログラム
<プロファイリングの様子>
図表.第2回セッションのプログラム プロファイリングの様子

グループワークでは、「ゴミ星人」としてプロファイリングした”便利な使い捨て商品”をついつい買ってしまう人に対して、便利な「レンタル事業」を提案するというアイデアや、流行に乗りやすく、周りの行動を気にしてしまう人に対して、飲料容器等のラベルに分別の方法やリサイクルの方法などの情報を付加して消費者にPRしていこうといったアイデアが出された。
また、後者のアイデアを出したグループは、自主的に飲料メーカーにそのアイデアを提案しにいくなど、その後の具体的なアクションに繋がった。

図表.第2回セッションのアウトプットの例
<アウトプット(1)>
図表.第2回セッションのアウトプットの例 アウトプット(1)

<アウトプット(2)>
図表.第2回セッションのアウトプットの例 アウトプット(2)

■セッション実施にあたってのポイント

2回のセッションの実践と反省を通して、参加者が活発に意見を出し合い、フューチャーセッションから具体的な解決方法を生み出すための要素として、「対話からアイデアを生み出す手法(プログラムデザイン)」と「安心・リラックスできる対話環境づくり」の2つが必要であると整理できた。

図表.フューチャーセッション実践のポイント
図表.フューチャーセッション実践のポイント

図表.フューチャーセッション実践のポイント

フューチャーセッションは、多様なバックグラウンドを有する参加者の知識・経験を最大限に引き出して、互いに気づきや新しい視点をもたらすことを意図してセッションを設計する必要がある。プログラムデザインのポイントとしては、単なる対話に終わらないために「自由な発想を引き出す問・ワーク」で発散した後に、「発想を集約するワークシート」でアイデアを具体化するという流れを作っていくことが挙げられる。加えて、「参加者のアイデア」に基づいて対話を進めていくことで、最終的なアウトプットに対して参加意識・責任感が生まれてくる。
また、初対面のステークホルダーが集まる場では、思う存分アイデアを発散させ、チームワークをつくっていくために、場に対する安心感を持ち、リラックスできる環境にすることが重要である。そこで、参加者を安心させるために主催者は準備をするとともに、普段の肩書・所属を忘れられるような演出をするとともに、参加者が安心して対話に集中できる環境をつくることが重要であることが分かった。

■セッション実施にあたって参考となる文献・ウェブページなど

最後に、実際のセッション実施にあたって参考となる文献・ウェブページを記載する。

【文献】
・「ゲームストリーミング」(著者)Dave Gray , Sunni Brown , James Macanufo , (監訳者)野村 恭彦 (訳者) 武舎 広幸, 武舎 るみ  2011 オライリー・ジャパン
・「ワークショップデザイン」堀 公俊 , 加藤 彰 2008 日本経済新聞出版社

 

【ウェブページ】
・デザイン思考ファシリテーションガイドブック(監修:イトーキオフィス総合研究所 編著:一般社団法人 デザイン思考研究所)
 http://www.itoki.jp/catalog/special/designthinking/pdf/designthinking.pdf
・イノベーション対話ツール(慶応義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科)
 http://www.mext.go.jp/a_menu/shinkou/sangaku/1347910.htm
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