観光地域づくりに不可欠な“地域の人の力”

2015/11/20
政策研究事業本部(名古屋) 研究開発部 主任研究員 内田 克哉

■はじめに ~地方創生を取り巻く状況

各地で地方創生に向けた動きが活発化している中、次年度は「次年度新型交付金」という形で、引き続き国からの支援が継続されることになる。

新型交付金は、従来の補助金では対応しきれない、先駆的な取組が対象となる。例えば、地域の観光振興の司令塔的な組織を担う日本版DMOは、地元ならではの資源を活用した観光ルートの開発などを担う事となるが、地域の観光関連事業者や行政が協働し、国内外からの観光客誘客、地域経済の活性化に向けた組織の運営費や人件費に新型交付金が当てられ、その成果が大きく期待されるところである。

この新型交付金の総額は、前年度予算を下回る規模とされており、また半額は自治体が負担する必要があることから、効果的に事業を選択していくなど、上手な予算の使い方が必要となる。

また、今後、継続的に同様の予算的な支援を受けられる確証がない中で、今回の支援措置を一過性に終わらせる事の無いよう、これを機とした自立的な体制づくりをしていく必要がある。

■地域が自立していくために求められること

地域が自立していくために、まず、多くの自治体の観光振興で生じてくる課題は、地域における各主体のそれぞれが、まちづくり、活性化策を打ち立てているものの、地域全体でみると統一感が乏しい、あるいは役割の重複感が有ることである。

予算を効果的に使っていくためには、地域全体での意思統一を図る必要があり、また観光まちづくりを推進していく事によるメリットの共有や相互理解が重要となる。

そして、地域の動きを活性化させ、持続的に推進できるようになるための取組・仕掛けが必要になる。例えば、国が実施している「地域おこし協力隊」の取組は、地域外部から新しい人材を招き入れ、文字通り地域おこしを活発化させる制度であり、各地で賑わいや活力を創出する動きに発展している。さらに必要な事は、これをきっかけとして、地域の人々が動き出す、活動に取り組むことであり、それが継続的なまちづくりや自立に繋がっていくと考える。

■観光地域づくりでの取組のポイント

では、具体的にはどのようなことをしていくべきか。

例えば、着地型ツアーを醸成していく場合、外部アドバイザーを招聘して、地域だけでは気が付かない新たな魅力発掘をする事があるが、それらの魅力的な資源をどのように商品化していくか、あるいは商品を効果的に売り込んで行くか、どのように創意工夫していくか、その魅せ方など、地域の人々を巻き込んで一緒になって議論する仕組みが必要である。また、地元グルメを開発していくにも、地元の農林水産事業者や商業事業者、飲食店など総合力を発揮し、地域の人々が自ら考え、進めて行く体制を構築する必要がある。

そのためには、施策の成果を求めるに留まらず、如何に地域全体が“その気”になり、今後も引き続き、観光地域づくりの取組を進められるか、その体制づくりが重要である。

■自立に向けた観光地域づくりで必要となる“地元の人の力”

これら様々な取組を推進して行くためには、地元に愛着と誇りを持つ、地元の人の力が不可欠となる。また、観光関連事業者という括りだけではなく、様々な事業者が観光地域づくりに関わり、盛り上げいく「キーパーソン」の存在が重要になる。

今後、持続性のある取組を進めて行くためには、若者も巻き込んだ取組が必要であり、進学で地元を離れていく高校生らにも協力を求めながら、将来Uターンで地元に帰着してもらい、地域まちづくりを支えていってもらえるような、次世代人材を地域が育む環境にも意識を置くべきである。

■おわりに

地方創生に関する国からの支援は、地域活性化の起爆剤となるが、きっかけの一つである。持続可能な観光地域づくりをしていくためには、これをきっかけとして自立していくことが必要であり、地元の人が地域を誇りに思い、次代を担える体制を作っていくことが重要である。

行政は、それらをサポートし、民間事業者と地域住民などが一緒になってまちづくりをすすめられる場を設け、サポートしていくことが必要になるだろう。

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