ソーシャルビジネス・レポート(1)議論進む「ソーシャルビジネス」の評価フレーム
全文紹介

2012/10/15
政策研究事業本部 大阪本部 研究開発第2部 小柴 巌和

【概要】
  • 近年、「ソーシャルビジネス」という言葉がしばしば聞かれるようになった。本稿では、「ソーシャルビジネス」の定義や要件について整理した上で、ソーシャルビジネス事業者を取り巻く課題やソーシャルビジネスの評価フレームについて紹介する。
  • 一般的に事業を展開する上では、バリューチェーンに関わる他者と適正な関係性を築くことが必要である。これに対して、ソーシャルビジネス事業者の場合には、経済性と社会性の双方を追求することを前提としてバリューチェーンを描くことから、より多岐にわたる関係者(ステイクホルダー)との複雑なバリューチェーンを描くことが求められる。
  • 本稿では、これらの多様な関係者(ステイクホルダー)のうち、ソーシャルビジネス事業者に特徴的な存在として「支援者」、「伴走者」を取り上げる。「支援者」とは、寄附や会費等を提供しソーシャルビジネス事業者を支える役割を果たす存在のことを呼ぶ。一方、「伴走者」は、ソーシャルビジネス事業者の社会的価値創出に向けて共に取り組む存在のことを呼ぶ。したがって、「伴走者」はソーシャルビジネス事業者の活動に対して、より直接的に関与し、事業展開のカギとなる要素を担うこともある。
  • ソーシャルビジネス事業者が自らの事業を推進・拡大していくためには、こうした「支援者」や「伴走者」の存在が不可欠である。しかし、限られた資源の中で、自らの存在や役割を社会にPRし、適切な「支援者」や「伴走者」を獲得していくことは必ずしも容易ではない。
  • この点に対して、ソーシャルビジネス事業者が「支援者」や「伴走者」を獲得、拡大していくことを支援する取組として、SROI(Social Return On Investment)のようにソーシャルビジネスにより創出された社会的価値を定量的に評価したり、事業者自体の組織評価を行ったりする試みがみられるようになっている。
  • ソーシャルビジネス事業者と彼ら/彼女らを取り巻く多様なステイクホルダーが協働し、社会をより良い方向に導いていくことができるようになるためには、こうした評価の枠組みとこれを活用した様々な仕掛けを作っていくことが求められている。
  • 本稿で紹介する評価の仕組みはまだ試行段階にあり、国内外における今後の発展に期待がかかる。
*「ソーシャルビジネス・レポート」では、ソーシャルビジネスを取り巻く最新動向について継続的にレポートしていきます。
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