農山村・農林業の人材育成政策最前線 ~EUに学ぶ処方箋~(4)「人をつなぐ”コーディネーター”の育成が農山村地域の再生を導く」 
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2010/08/12
政策研究事業本部 東京本部 公共経営・地域政策部 副主任研究員 阿部剛志

本稿は欧州(オーストリア)の農林業人材育成制度、農山村振興政策(Leader事業)に関する既刊3稿のまとめとして、これらの政策とわが国の置かれた環境を踏まえて、農林業を基盤とした地域の再生に求められる政策パッケージ(人材育成制度の全体像)を日本とオーストリアの比較から検証し、オーストリアの人材育成制度にはない、日本独自のもう1つの人材育成制度を加える必要性とその方法を提言するものである。

 【レポートの概要】

 ■日本とオーストリアの類似点・相違点

  • 日本とオーストリアの農林業を取り巻く自然環境は、山岳地域等の条件不利地域が国土に占める割合の多さや、そうした地域に多くの森林・農地が賦存しているなど類似性が高く、求められる農林業技術・経営ノウハウ(高品質・付加価値化志向等)も類似している。
  • 一方、農山村及び条件不利地域の人口推移や、農業経営者の高齢化状況、就業形態等、新規農林業就業者を取り巻く社会環境はオーストリアの方が日本よりも良好(持続性が高い)といえる。

 ■求められる政策パッケージ(人材育成制度)の全体像(日本独自のもう1つの人材育成の必要性)

  • 日本とオーストリアとの自然・社会環境の類似性・相違点を踏まえると、農業経営・生産技術に関する人材(農林業就業者)育成に関しては、先稿(2)(3)の通り、適用可能な考え方、手法が多いオーストリア等の制度を手本としながら、日本の状況にあわせてアレンジしていけばよいと考えられる。
  • 一方、日本の新規農林業就業者は地域外から就業するケースが多く、上記の「農林業就業者」の育成制度に加え、新天地となる地域での生活支援、他産業で得たノウハウを活かした兼業、地域の資源やパートナーを活かした新事業展開の支援など、新規就業者と地域をつなぐ「コーディネーター」というもう1つの人材育成が不可欠である。

 ■「コーディネーター」というもう1つの人材の育成方策

  • 「コーディネーター」の育成に向けては、NPO・NGO、地方大学の人材など様々なアプローチ方法が考えられるが、コーディネーターに求められる機能を考えると、地域の実態や人材に精通しており、地域社会からの信頼を最も得やすい「自治体職員(OBを含む)」を中心に能力開発していくことが効果的であると考える。現段階ではそのための全国的な組織は存在せず、この機能を早急に整備していくことが望まれる。
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