成果志向の社会貢献活動~注目されるベンチャーフィランソロピー~
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2012/01/10
政策研究事業本部 東京本部 環境・エネルギー部 副主任研究員 水谷衣里

本稿では、近年注目が高まるベンチャーフィランソロピーを題材として、成果志向の社会貢献活動に関する調査研究を行った。ベンチャーフィランソロピーの登場の背景には、従来型の助成財団や、公的機関に対する問題提起が存在する。新たな公共の担い手として期待が高まる民間非営利活動や社会的企業(ソーシャルビジネス、ソーシャルエンタプライズ)の基盤強化に向けて、日本においても具体的な取り組みが期待される。

【調査結果の概要】

  • ベンチャーフィランソロピーの特徴として、非営利組織や社会的企業といった、社会課題の解決を第一の目的に掲げる組織に対して、中長期に亘り経営面で強いコミットメントを維持しながら、金銭的な支援を行う点が挙げられる。
  • 調査では、英国で活動するImpetus Trustへの実態調査をもとに、ヨーロッパにおけるベンチャーフィランソロピーの活動実態を整理した。
  • ベンチャーフィランソロピーでは高い専門性を持つスタッフが、継続的に投資先とコミュニケーションを取り、適切なマイルストーンを設定することで、チャリティ団体や社会的企業の成長を促していることが分った。また、コーポレートパートナーが存在すること、専門家の協力が得られていることなども、ベンチャーフィランソロピーの強みとして挙げられる。
  • ベンチャーフィランソロピーに関する関心は、アジアでも拡大しつつある。米国で生まれたモデルを活かしわが国で独自のネットワークを築いたソーシャルベンチャー・パートナーズ東京、アジア地域のベンチャーフィランソロピーのネットワーク構築を目指すThe Asian Venture Philanthropy Network(AVPN)など、活発な動きが見られる。
  • 今後日本においても、ベンチャーフィランソロピーの設立、あるいはベンチャーフィランソロピーの考え方を導入した助成プログラムの運営を行うことは十分に検討に値しよう。複数年助成の導入や、外部リソースを活用した非資金的支援の実施、マイルストーンを設定し時点での振り返りを踏まえて追加助成や減額等を柔軟に行う、など、取り組みやすい形でベンチャーフィランソロピーの手法を取り入れることは、既存の助成プログラムを顧みる意味でも有用であると考えられる。
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