国内において必要な生物多様性保全活動とは?~生物多様性特集(3)~
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2012/02/13
政策研究事業本部 大阪本部 研究開発第2部 研究員 西田貴明

生物多様性の保全の社会的重要性が高まるなか、さまざまな業種業態の民間企業において自主的な生物多様性の保全活動が活発化してきている。しかし、生物多様性問題は幅広く、民間企業が保全活動内容を検討する際に、その対象や活動内容について戸惑うことも多い。
本レポートでは、まず科学的に評価された国内における生物多様性の重要課題を整理し、国内において特に重大な危機にさらされている森林、農地、都市などの生態系タイプやその要因を概況した上で、民間企業に期待される保全対象のイメージを具体化することを試みる。さらに、既存の民間企業の保全活動を整理し、生物多様性保全ニーズと民間企業の保全活動を比較し、今後国内において期待される保全活動の方向性を明らかにする。

【概 要】

  • 「生態系、野生動植物の損失」の観点から生物多様性保全の課題を整理すると、最も大きな課題は、陸水、海洋・沿岸、島嶼(とうしょ)生態系における損失であり、次いで農地生態系の損失である。この2つの生態系の損失要因としては土地開発等の直接的な生態系への破壊とともに、外来生物・化学物質の拡大があげられる。また、森林(人工林)、農地については、これらに加えて、利用管理の縮退が大きな原因となっている。
  • 生態系サービス(生態系、野生動植物が人間生活にもたらす便益の総称)の観点からみると、「生態系サービスの劣化」は、特に農地、陸水、海洋・沿岸、島嶼生態系において厳しい状態にあり、利用管理の縮退や外来種の拡大が大きな要因となっている。
  • 民間企業の保全活動は、主に森林、都市で活発に行われており、保全ニーズに応える動きがみられる。しかし、保全ニーズが逼迫している沿岸・海洋、島嶼においては、保全活動の事例が少ない。また、活動内容を見ると、外来生物・化学物質の拡大の危機に対する活動が不足している。
  • 生物多様性の危機への対策は、膨大なコストを伴うものであり、行政や市民だけなく、これまで以上の民間企業の活動が求められる。民間企業の保全活動の拡大のためには、民間企業の事業活動と生態系保全をつなぐストーリー、およびさまざまな地域における民間企業の活動を誘発する社会的な枠組みを構築していく必要がある。
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