我が国におけるエネルギー自治の実現に向けた基礎調査(2)日独の発送電事業の背景及び運用の実態 
全文紹介

2012/04/26
政策研究事業本部(東京)大澤 拓人、高橋 渓、村上 聡江

【概 要】

  • 東日本大震災を契機として、日本における大規模集中型の電力供給システムの非常時における脆弱性を指摘する声が高まっており、従来の供給側からのアプローチに加え、需要側からもエネルギーシステムを考える動きが活発化している。
  • 本稿では、電力供給分野を対象として、地域による「エネルギー自治」が一部地域において行われているドイツを取り上げ、現在の電力供給体制に至るまでの歴史的な背景を踏まえながら、日本との比較を行い、ドイツにおける地域エネルギー供給の担い手の役割を整理した。
  • 日・独の電力供給事業の歴史的背景を比較すると、発電から送電、配電、小売までを行う垂直統合型の大規模企業が存在しているという点では共通している。しかし、ドイツにおいては、垂直統合型企業に加え、地域経営企業、地方経営企業(Stadtwerke)といった数多くのローカル企業が、各地域の配電・小売を過去から担ってきており、この点が日本と大きく異なっている。
  • Stadtwerkeは、100年以上前から存在している事業形態であり、長い年月をかけて地域に電力供給事業を運用するノウハウが蓄積されている。「消費者」、「生活者」や「地域」を重視したエネルギー供給を目指す場合、地域密着型の事業体であるStadtwerkeの様な事業体が存在することが望ましいが、日本においてこのような事業体を現状すぐに立ち上げることは、歴史的な下地がないために難しい。
  • 日本において「エネルギー自治」実現のための第一歩としては、地域においてエネルギー供給事業の運営ノウハウを有する人材を確保し、地域に運営ノウハウが蓄積するような仕組みを作ることであると考えられる。
  • また、ノウハウの蓄積のためには実際にエネルギー供給を運用してみる必要がある。しかしながら、現在の電力事業法の下では一般電気事業者の以外が送配電設備を使用することは認められておらず、特区制度の認定条件の緩和等、制度の枠組みの変革が求められるところである。
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