我が国におけるエネルギー自治の実現に向けた基礎調査(3)エネルギー自治に向けて地域で成すべきこと
 ~農山漁村における分散自立型エネルギー供給の実現のために~
全文紹介

2012/05/28
政策研究事業本部 東京本部 阿部 剛志、小川 拓哉

東日本大震災後、分散自立型のエネルギー供給を実現することの重要性が各方面で認識され、新たな動きがでてきているが、再生可能エネルギー源が豊富な農山漁村地域においては、地域外部の資本による導入促進が活発である一方、地域の需要に応じた自発的な「エネルギー自治」が活発化しているとは言い難い。

 そこで本稿は、地域の需要に応じた分散自立型のエネルギー供給が進むドイツを比較対象としながら、その社会背景や考え方の整理を行うとともに、今後、わが国の農山漁村で「エネルギー自治」を進める上で重要な役割が期待される自治体に着目し、自治体が成すべきことをドイツの取り組み例も参考にしながら提示する。

【概要】

  • 中央主導による分散自立型のエネルギー供給施設整備が推進されているが、東日本大震災で顕在化したわが国のエネルギー供給システムの脆弱性(需要と連動した需給マネジメントが検討されない、平時と有事の連続性等)に対処するには、地域の需要に応じた「エネルギー自治」の動きが重要な意味を持つ。
  • 「エネルギー自治」は国家的な意義だけでなく、新規雇用の発生、震災・停電時等非常時のレジリエンス(しなやかな回復力)の発揮、持続可能なまちづくりの梃子(てこ)になるといった観点から地域にとっても意義深いものである。
  • 「エネルギー自治」の進展が大きく異なるわが国とドイツであるが、地域における実施根拠や社会的要請(社会性・公益性)に大差はない。今般、法整備により経済性の部分も満たされたことで、自治体としても改めて分散自立型のエネルギー供給の意義を政策的に見直す時期が来ているのではないだろうか。
  • 「エネルギー自治」に向けて自治体が成すべきこととしては「複合的な視点(エネルギーの需給マネジメント)に基づく戦略・計画の検討」「エネルギー需給ポテンシャルの定量化や見える化による基本情報の作成」「住民参画・合意を促す普及啓発事業の展開」「エネルギー需給マネジメントに関わる人材・組織の育成」などがある。
  • エネルギー供給システムの変革に成功した先進国が示すとおり、成功するか否かは地域レベルでの自発的な取り組みにかかっている。
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