ソーシャルビジネス・レポート(2)ハーバード大学の挑戦~ “Harvard Innovation Lab”: グローバル・イノベーション・ハブの構築~
全文紹介

2013/02/12
政策研究事業本部 大阪本部 研究開発第2部 小柴 巌和

【概要】
  •  2011年、ハーバード大学はイノベーション創出、新産業創出に向けた新たなソーシャル・アクションに着手した。本稿では、この新しい試みとして、” Harvard Innovation Lab”の取組を紹介する。
  • 新産業創出・新市場開拓と社会的課題の解決・改善を両立しようとする起業家、地球規模のグローバル・イシューの解決・改善を志す社会起業家の育成・支援に向けたアクション・ラボの挑戦はわが国の今後のチャレンジにも大いなる示唆を与えてくれる。
  • アメリカでは、1993年、ハーバード大学ビジネススクールが、「Social Enterprise Initiative」というプログラムを設け、社会的な価値を生み出すビジネスとしてのソーシャルビジネスに関する研究者や実践家の育成に取り組むようになった。当時の動きは主としてアメリカ国内における経済政策により深刻化した地域問題に呼応する動きであった。
  • これに対し、2011年11月、ハーバード大学が始めた “Harvard Innovation Lab”の取組は、地域問題に加え、地球規模のグローバル・イシューの解決・改善を志す起業家、社会起業家の育成・支援である。
  • i-labでは、特に、国際社会にとって喫緊の課題である、(1)Learning(学習・教育)、(2) Energy & Environment(エネルギー・環境)、(3) Health(保健・医療)、(4) Disaster Preparation & Relief(防災・災害救援)、(5) The Arts(文化・芸術) の5分野において創造的な解をもたらすことを目指している。
  • i-labは、様々な支援を学生等の起業に対する関心度・準備状況によって、3つのフェーズに分け実施している。学長等が任命する外部専門家EIRによる事業化に向けた支援やビジネスプラン・コンテストであるPresident’s Challengeは特に注目される支援手法であるが、特に、個人ではなく起業家チーム単位で支援を行う点が特徴的である。
  • 取組が開始されてまだ1年程度であるが、異なる専門を志向する複数の学生が設立したVaxess Technologies社はワクチン保存法に技術革新をもたらし、世界の隅々までワクチン接種が行き届くようにすることで、グローバル・イノベーションを生み出そうとしている。
  • 本稿では、最後に、i-labによる取組の特徴として、(1)学生によるイノベーション創出支援、(2)多様な専門性が織り成す起業家チームを対象とした支援、(3)大学が有する社会資源の有効活用とトップダウンのマネジメント、(4)国際協力・開発の現場ニーズを起点としてビジネス・アイデアの抽出、(5)カルチュラル・アントレプレナーシップに対する支援の5点について整理している。
*「ソーシャルビジネス・レポート」では、ソーシャルビジネスを取り巻く最新動向について継続的にレポートしていきます。
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