どう活かす?休眠預金~“民による社会課題の解決”を支える仕組みをつくるために~
全文紹介

2014/10/09
ソーシャルエコノミー研究センター 副主任研究員 水谷 衣里

【概要】
  • 転居や結婚、死去など何らかの理由で使われなくなった預金口座。こうした口座に預けられた「休眠預金」の活用に向けた動きが加速している。この春国会には議員立法を目指す超党派の議員連盟が発足した。休眠口座国民会議をはじめ、民間側も積極的な世論喚起に努めている。
  • 休眠預金は、銀行等金融機関において年間約850億円程度発生し、預金者に350億円が払い戻されていると推計されている。いつでも払い戻し請求に応じられる体制を維持しながら、残る年間500億円を社会的に活用するための方策を考えようというのが、休眠預金活用に向けた議論のあらましである。
  • 海外においては、休眠預金を社会的目的に活用している例が見られる。
  • 英国では、休眠口座検索システムを新設した上で、「請求基金」と呼ばれる休眠預金を一括して管理する組織を設置。さらに「ビックロッタリーファンド」と「ビックソサエティキャピタル」という2つの組織を活用し、現場のチャリティ団体やコミュニティ利益会社等に資金を提供することで、社会的課題の解決を促進している。
  • 韓国では、微笑金融中央財団が中心となり、休眠預金を活用したマイクロクレジット事業を展開し、福祉事業者の支援を行なっている。
  • 今後、休眠預金の活用推進に向けて、法制化を含む議論が活発化すると考えられる。資金管理という側面を超えて、柔軟に、かつ実際の社会的課題解決に寄与する仕組みをどう構築してゆくかが課題となる。
  • また、各地域の実情に合わせて、きめ細かく資金供給量や供給先を調整できる体制づくりが求められる。その意味では各地域で既に活動している地域の資金仲介組織と連携・協力しながら運用を行なうことが重要となる。またその際には資金仲介側の組織の担い手の成長機会を創出する取り組みが求められる。
  • さらには既存の助成制度に多く見られる「支出管理重視」ではなく、「成果重視」、すなわち「得られた資金で何を生み出したか」に注目する制度設計が求められよう。そのためには、ソーシャルインパクトや社会的リターンを投融資先、助成先に求めると共に、その仕組みづくりを行なう必要がある。
  • 世界では社会的投資の振興に向けた議論が盛り上がりを見せている。休眠預金を呼び水として民間企業や個人からのさらなる投資や寄付などを促進させる仕組みを構築することも重要だと考えられる。
  • 休眠預金は一人ひとりの預金者が預けた民間の資金である。眠れる資金を国庫に納入するのではなく、民間の財源として活用する以上は、必要な説明責任を果たしながら、従来の仕組みでは支援の手が行き届かなかった対象者をサポートする機会を創出することや、支援者側の力量を向上させ社会課題をより良く解決するモデルづくりの機会となることが大切だと考える。
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