政策効果分析の潮流とランダム化比較実験を用いたアンケート督促効果の推定
全文紹介

2014/10/10
経済・社会政策部 副主任研究員 小林 庸平

【概要】
  • 日本の財政制約が厳しくなる中で、政策効果分析の必要性は今まで以上に高まっている。しかしながら、政策効果の分析にはさまざまなバイアスが含まれるため、政策効果の因果関係を特定する事は想像以上に難しい。そうした中で、ランダム化比較実験(Randomized Controlled Trial:RCT)を用いた分析が、学術界のみならず、政策実務の現場でも広く用いられるようになってきた。
  • 本稿では、政策効果分析における因果関係特定の難しさと、RCTが用いられるようになってきた背景を整理するとともに、RCTを企業アンケートにおける督促効果の分析に適用し、電話督促とハガキ督促が回収率にどのような影響を与えているのかを検証した。
  • 検証の結果、電話督促はハガキ督促や督促なしと比較して、回収率を5%程度高める事が分かった。その一方で、ハガキ督促には回収率を高める効果がほとんどない事が示唆された。また企業属性別にみると、未上場企業やその他サービス業に対する電話督促は、効果が大きい可能性が示唆された。
  • ただし回収数を増やすことのみが目的なのであれば、督促を行うよりも、発送数を増やす方が費用効率的である。
  • アンケートの回収率は調査の信頼性を高めるために不可欠な要素であり、今後はさまざま工夫のうち、どういったものが信頼性の高い調査を実現するために費用対効果の高い方法なのかどうかを検証していく事が必要である。
  • RCTは、政策効果を分析するために広く活用されるようになってきており、その適用範囲は非常に広い。しかしながら、RCTを適用するためには、政策実施前の段階から、効果測定を見据えた政策デザインが必要であり、行政と研究者・研究機関との相互理解と連携が不可欠となる。効率的な政策実施のためには、こうした手法を積極的に活用していくことが求められる。
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