デジタルゲーム・メタクリエイション
全文紹介

2007/01 (2007 Vol.1)
東京大学大学院 学際情報学府 博士課程学生 星野瑠美子

 欧米のPCゲーム市場ではゲーム開発会社が自社のゲームの開発ツールを公開し、ユーザがさらなるゲームコンテンツを作り出すMODというメタクリエイションが行われている。このユーザによる多様な追加コンテンツはゲームの商品寿命を延ばすものとしてポジティブにとらえられている。一方、この動向は日本国内では注目されず、ゲーム開発会社も開発ツールの公開は考えていない。日本ではユーザはただの消費者とみなされ、ゲーム開発者との間には大きな壁がある。
 しかし、実はこのMODが現在の欧米と日本のゲーム業界の技術格差の一因ともなっている。まず、実際の開発ツールを用いてユーザがコンテンツを作ることはゲーム自体の価値を高めることに貢献している。しかもそれに加え、コンテンツ作成の実践を通じてゲーム業界全体に対して即戦力となる人材が育成されている。
 さらにMODはゲームを教育、健康等、非娯楽目的に活用するシリアスゲームの開発や、3Dゲームの表現力を使ってCG映画を制作するマシニマのプラットホームという形でも活用されている。つまり、ゲームの世界を越えた社会にまで影響を及ぼしているのだ。
 本論文ではMODについてその成立過程から、現在のMOD環境の一例、そしてMODから生まれて商業的に大成功を収めた製品や、MODを用いたビジネスモデルなど既存の成功例にも触れる。さらに、PCゲームから次世代機、オンラインゲームへと広がっていくMODの今後の展望、そして日本での展開の可能性を論じる。

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