フード・クライシス~消費者と正面から向き合うために~
全文紹介

2008/04 (2008 Vol.2)
マネジメントシステム部 チーフコンサルタント 岡本 泰彦

 『ハドソン夫人はずいぶん気がきくね。あまり変わった料理も知ってはいないが、(中略)朝食の作り方は心得ているほうだ。ワトスン君、それは何だい?』
 (海軍条約文書事件/サー・アーサー・コナン・ドイル)(注記1)
 
 大手乳製品メーカーのずさんな生産ライン管理に起因した食中毒が発生、13,420人の被害者を出し、企業の危機管理に対するモラルの低さを露呈した事件から、早や8年。この教訓は活かしきれず、食中毒や異物混入、食品の偽装表示事件は後をたたない。食の安全に対する不信感はつのるばかりで、安全神話は、もはや地に落ちた感すらある。
 消費者は、もはや欺かれ騙され続けることに、疲れきってしまった。
 さらに近年、食の世界も『ユビキタス』となり、産地や季節を超えて、いつでもどこでも旬の食材を味わうことができるようになった。流通経路が複雑かつ多段階となることで、リスクは倍増する。
 消費者は、便利で快適な生活と引き換えに、リスクを背負うことになった。
 農薬による汚染や食中毒、私たちの健康に悪影響を及ぼす要因はいろいろあるが、まだあまり認知されていない大きなリスクも潜んでいる。このようなリスクの源泉が何なのか、どこに問題があるのか、私たちにはだんだんとわかってきた。
 消費者は、もう売り手の思う通りに踊ることはない。
 食品の安全性に対する信頼を回復し、消費者と良い関係を築くためには、流通システム(生産から小売)の中で、けっして『仲間うちの論理』に囚われることなく、お互いにオープンで厳格な関係を維持しつつ、透明かつ正確な情報をもって、消費者と正面きって向かい合うことが大切である。
 今回は、いわゆる食の『安全』、『安心』とは何なのか、安全・安心を確保し、消費者の満足を得るためにはどうしたらよいのか、リスクアプローチの視点から検証してみたい。
 キーワードは『透明感のある正直さ』と『フードチェーン的発想』である。

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