環境を切り口とした震災復興まちづくりの提案
全文紹介

2011/10 (2011 Vol.4)
研究開発第2部(大阪) 地域・環境戦略グループ長 主任研究員 永井 克治

 先に発生した東日本大震災は、未だに「復旧」の見込みが立たず、「復興」の方向性についても迷走している。本稿では、これらの復旧や復興について、「環境」を切り口にすることで、真の意味での「復興まちづくり」がなされるものと提案している。
 最大のポイントは、自然や文化といった「風土」を生かすとともに、ハイテクとローテクのバランスをとった「環境技術」を導入することだ。そのうえで一時的な効果ではない持続可能な仕組みを入れ込み、さらに環境面だけではない社会面、経済面等さまざまな価値を創出するといった視点を、東北地方の新しい復興まちづくり、あるいは全国的に対処しなければならない原発事故への対応に組み込んでいくことが肝要である。
 具体的には、復旧では、災害汚染の除去、がれき等の処理、地域電源の確保等を主な課題と捉えるとともに、復興においては、低炭素社会の構築、循環型社会の形成、生物多様性の保全等を主眼とする。そして、このような環境を切り口としたまちづくりに取り組むことで、環境価値だけでなく、安全・安心なまちづくりや雇用の安定等の社会的価値、農林水産業・先端産業の振興や所得の増加等、経済的価値の向上も実現できると考えている。
 また、福島第一原子力発電所の事故にともなう、電力消費量の削減、放射性物質の除去といった全国的で長期的な問題を解決することも必要である。今回、エネルギーや物資、食糧等の資源制約の状況を目の当たりにすることになったが、これを契機に、「ものを大事にする心」等、本来日本人が有している良さを最大限に生かし、「循環」型の生活、まちづくりを行っていくことが重要である。

全文紹介 前のページへもどる

ページの先頭へ

1234567890