成長戦略は必要なのか~成長戦略が経済成長率を高めるという幻想~
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2013/01 (2013 Vol.1)
調査部長 鈴木 明彦

戦後の高度成長を演出したとも言える池田内閣の「国民所得倍増計画」に代表される経済計画は、「成長戦略」と名前を変えて続いている。今や、自民党、民主党を問わず、新たに誕生した内閣が成長戦略を策定することはひとつの儀式のように さえなっている。しかし、自由主義経済において計画経済的性格を持った成長戦略 を掲げることは、もともと矛盾と限界を内包していたとも言える。さらに、日本の 経済成長力が低下し、財政構造の悪化を背景に財政支出をともなう政策対応の手段 が限られてくると、成長戦略の力で経済成長率を上げるという試みの限界がいよい よ明白になってきている。加えて、最近では「デフレ脱却」という新たな課題まで 担わされて、成長戦略の迷走に拍車がかかっている。

少子高齢化の進展、世界経済の成長力の低下、日本の国際競争力の劣化、原材料輸入価格の高止まり、とい った日本経済を取り巻く大きな環境変化を直視するならば、政府が行うべきことが成長戦略という派手なアド バルーンを揚げることではないことは明らかだ。「成長戦略を梃子に日本経済を再び成長軌道へ」といったお題 目はいい加減に卒業する必要があろう。

必要とされているのは構造問題に真正面から取り組む国家戦略だ。それは、すぐに成長に結びつくわけでは なく、しかも痛みをともなう政策であり、それだけに反対する人がたくさんいて、何とか実現しても国民の人 気は得られない地味な政策であるかもしれない。しかし、それが正しいと思うのであれば、国民を説得して実 現していくことが政治の大事な役割だ。

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