農業者戸別所得補償制度はバラマキだったか?
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2013/01 (2013 Vol.1)
環境・エネルギー部 主任研究員 森口 洋充

農業者戸別所得補償制度は、平成21年度衆議院総選挙時に提示された民主党マ ニフェストの中で目玉となる施策であった。自民党政権時代の平成19年より実施 されていた水田・畑作経営所得安定対策では、WTOに適合した助成金へ転換しつ つ、遅々として進展しないわが国の農業構造改善をドラスティックに進めるべく、 支給対象を大規模農家に限定していた。本政策に対する農村部からの反発は強く、 平成21年度衆議院総選挙において、民主党を大勝させるひとつの要因となったと も言える。

民主党が実施した農業者戸別所得補償制度は、支給対象を大規模農家だけに絞ら ず、生産調整に参加する販売農家をすべて対象とした。当初、対象を限定しない助 成はバラマキではないか、という批判を浴びたが、このような支援の方が欧米では一般的であり、むしろ農業 の大規模化を推進するための施策と農家の経営を安定させるための施策は切り離して、別個に実施されるべき であると考えられる。ただし、欧米ほど規模拡大が進んでいないわが国の状況では、所得補償の効果が薄れる ことも確かであり、戸別所得補償の実施と並行して、農地集積や規模拡大等についてもあわせて進めていくこ とが重要である。

一方で、直接所得補償導入の目的のひとつでもあったWTOルールへの対応については、水田・畑作経営所得 安定対策から農業者戸別所得補償制度へと転換するにあたって、削減の対象となる助成(イエローボックス) が増加している。戦略的に活用するための農業助成枠をできるだけ確保する観点から、可能な限り削除対象と ならない助成(グリーンボックス)への移行を進めていくべきであると考えられる。

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