昨今、経済産業省を中心とした「地域×スポーツクラブ産業研究会」や「スポーツコンテンツ・データビジネスの拡大に向けた権利の在り方研究会」において、スポーツベッティングの解禁(民間への開放)に関する議論がなされている。スポーツベッティングとは、野球やサッカー、バスケットボール、ラグビー、アメリカンフットボール、テニスなど、「スポーツを対象としたベッティング(賭け)行為」を指す。日本では、サッカーのTOTOなど既に合法の領域も一部あるが、スポーツベッティングが解禁された場合の年間市場規模は7兆円程度と推計されている[ⅰ]。
日本のスポーツベッティングはまだまだ不確定な部分が多いものの、早い段階から戦略を描き、適切な準備をしておくことで、新市場において有利なポジションを得ることが可能になるだろう。なお、スポーツベッティングが解禁された場合、八百長やギャンブル依存症などへの懸念の広がりも予想される。本レポートの主題ではないが、国や政府だけではなくステークホルダーとして、このような社会的な問題への対応も同時に行う必要があるだろう。
本レポートでは、日本におけるスポーツベッティング解禁を見据えた上で、発生するビジネスチャンスと参入方法についての提案を行う。「1.日本におけるスポーツベッティングの現状整理」では、解禁後のスポーツベッティングにおけるプレイヤーの整理を行った。「2.日本におけるスポーツベッティングの将来展望」では、日本のスポーツベッティングにおける課題を「エンタメ性の高いベッティングコンテンツの創出」とし、データの利活用推進について取り上げた。そのうえで、主催者となり得る公益法人を除き、日本のスポーツベッティングで大きなビジネスチャンスを得るポジションをデータプロバイダと結論付ける。「3.データプロバイダ化に向けたアクションプラン」では、データプロバイダの役割を担うために企業が行うべき重要なアクションを「スポーツ事業者へのデータライツ整備のリクエスト」とし、スポーツ事業者と接点を持つ手段を検討する。
[ⅰ] サイバーエージェント「サイバーエージェント、日本のスポーツベッティング市場規模を7兆円と推計」
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