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米企業の債務の持続性 ~返済原資のキャッシュフローに下振れ懸念~

2020/02/27
調査部
細尾 忠生

○米企業の債務残高が増加している。配当・自社株買い、合併・買収のための資金需要が拡大していることに加え、低格付け企業の資金調達も増加していることが、債務を増加させる要因となっている。また、運用難を背景に、貸し手より借り手が優位な状況にある中、過度に緩和的な貸出姿勢が債務拡大の一因となる動きも目立ち始めた。

○米企業の債務は、返済原資であるキャッシュフロー創出力とのバランスがある程度保たれており、今のところ持続性が確保されている。もっとも、債務とキャッシュフローの比率である債務償還年数は上昇傾向が続き、過去のピーク水準に接近している。

○債務とキャッシュフローの増加率に仮定を置き試算すれば、債務、キャッシュフローが平均的なペースで増加する限り、米企業の債務は今後も数年にわたり持続可能とみられる。もっとも、債務返済原資であるキャッシュフローは、米中摩擦の影響により足元3四半期連続で減少した。先行きも、新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大による世界経済への影響次第で下振れ懸念が高まっている。

○中国経済の変調が世界経済に影響を与えた事例として2015~16年の人民元ショックがある。実際、当時の米企業のキャッシュフローは、リーマン危機以降で最大の落ち込み(前年比▲5.0%)を示した。今後、米企業のキャッシュフローが同程度の落ち込みを示せば、債務償還年数は、今年2020年後半にもリーマン危機時にピーク水準に到達する。

○今後リスクシナリオが顕在化すれば、米企業の債務が持続可能でなくなり、債務不履行の発生による金融市場の混乱など、米企業の債務が景気後退の影響を増幅することも懸念されよう。

調査部
主任研究員
細尾 忠生

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