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バブル崩壊後の企業収益回復の検証

2006/02/07

~ポスト・デフレ時代の企業の課題~

○企業業績の改善が続いており、2005年度の経常利益は過去最高を更新することが確実である。本稿ではバブル崩壊後の時期を、(1)業績が改善に転じた94年度から金融危機の発生した98年度までの第I期、(2)ITブームによって景気が回復した一方で、企業のバランスシート調整が本格化した99年度~2001年度の第II期、(3)ITブーム崩壊を経て景気が回復に転じ、息の長い拡大が続いている2002年度~現在までの第III期にわけて、経常利益増減の原因を調べた。

○経常利益増減の要因を、(1)固定費要因、(2)限界利益要因、(3)営業外損益要因(支払い利息を除く)の3つに分けて考えたところ、それぞれの時期の改善要因は全く異なるものであった。

○第I期は、金融緩和によって企業の借り入れ金利が低下し、支払利息の削減を通して経常利益は支えられていた。自らの経営努力というよりも、経済政策による収益のサポートに依存していた期間である。第II期は、バランスシート調整やリストラによる固定費圧縮が利益を拡大させた時期であり、企業が自らの努力によって増益を確保した。第III期は、固定費圧縮の効果が一巡し、販売数量の増加が利益を押し上げた時期である。中でも、輸出の増加が利益の拡大に寄与した。なお、第I期、第II期に利益の押し下げ要因となっていた営業外損益(支払い利息を除く)は、受取配当金の増加によって利益の押し上げ要因に転じた。

○これらの諸要因の今後の動向を勘案すると、2006年度の企業利益は、引き続き販売数量に左右されそうである。固定費、変動費が増加してくるため、販売数量の伸びが鈍化すれば利益が減少する可能性もある。企業の収益力は高まってきているが、世界経済減速など外部環境の変化に影響されやすいことに変わりはない。

○外部環境の変化の影響を小さくし、安定的に利益を獲得していくためには、販売価格の引き上げによる収益力強化が必要である。このためには、高付加価値化を進め、より高価な製品・サービスを提供することが有効である。

○現在のように販売数量が増加し、多くの企業の利益が増加している間は、企業間の利益格差はあまり目立たないが、いったん需要の拡大が止まってしまうと企業間の収益力格差が際立ってくる。ポスト・デフレの時代では、利益の増加要因の違いを背景に企業業績の二極化が進むと考えられる。

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