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インドネシア経済のパラドックス

2008/10/03

~ 経済が復調しているのに世界での存在感が低下しているのはなぜか? ~

○アジア通貨危機やスハルト政権崩壊による混乱から10年を経て、インドネシア経済は堅調に推移しており、2007年の成長率は6.3%と通貨危機後で最高となった。景気拡大の牽引役は、好調な個人消費である。為替相場と金利の安定、パームオイル・石炭等の一次産品の生産・輸出好調による所得増、といった要因が消費拡大を後押ししていると見られる。

○好調なインドネシア経済にも懸念材料はある。まず、インフレ率が上昇している。また、景気が回復しているのに失業率が高止まっている。さらに、国内原油生産量低下と国際原油価格高騰によって原油輸入支払いが増え、それが、エネルギー価格補助金を増加させ財政を圧迫している。このほか、対外債務の返済負担が重く、対外債務返済のためのドル買い圧力が高まって為替相場下落が起こりやすい体質であることも不安材料といえる。

○インドネシアは、実体経済と政治社会情勢が改善しているのに、国際経済における存在感が低下するというパラドックスに陥っている。その背景には、労働集約型産業の投資先として人件費の安いベトナムが台頭してきたことや、インドネシアの投資環境が周辺諸国に比べて魅力的でないといった要因があるものと考えられる。実際、インドネシアへの海外からの直接投資(FDI)流入額は、足元でタイやベトナムを下回っている。

○インドネシアへのFDIが周辺諸国よりも少ない理由として、アジア域内での工業生産分業ネットワーク形成にインドネシアが乗り遅れていることや、過去のインドネシア政府の産業政策が不適切で外資誘致戦略が不十分だったことなども見逃せないであろう。

○日系企業は、世界第4位の2.2億人もの人口を有するインドネシアの巨大な国内市場に魅力を感じている。しかし、他方で、インドネシアの政治や通貨の安定に対する不安感を拭いきれていない。また、電力不足、労働者に手厚い労働法、汚職の蔓延といった要因も、日系企業の対インドネシア投資を躊躇させていると考えられる。

○今後のインドネシア経済は、個人消費を中心とする内需の着実な拡大によって堅調に推移すると考えられる。ただ、持続的な経済成長のためには、インドネシアへのFDI誘致拡大が重要であり、それには、やはり投資環境改善が不可欠になる。インドネシア政府は、電力不足や汚職の蔓延といった課題への取り組みを加速することが求められる。

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