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日本経済の中期見通し(2018~2030年度) ~生産性向上への挑戦が続く日本経済~

2019/04/04
調査部

○東京オリンピック・パラリンピックまでは、海外景気の低迷や消費税率10%への引き上げの影響などから一時的に景気が減速する局面もあろう。しかし、個人消費や設備投資など内需の底堅さが維持されることに加え、東京オリンピック・パラリンピック開催に向けた関連需要の盛り上りが期待され、景気が長期間にわたって低迷することはない。また、開催後に、盛り上がった需要が剥落する影響で景気が一時的に悪化するが、人手不足など建設業の供給能力に限界がある中で、先送りされた投資も多く、需要の平準化が進んでおり、長期的な低迷期に突入することもないであろう。

○2020年代は、人口減少が進む中、需要減少とともに、人手不足が深刻化することで供給制約の問題に直面し、景気の重石となると予想される。特に、東京オリンピック・パラリンピック後からは、労働投入量の減少ペースが加速する見込みであり、景気に対する下押し圧力が増すことになる。こうした事態に対応するため、企業は、省力化投資・研究開発投資の増加、AI、IoTの利用推進、業務合理化、企業間の連携の強化、業界内での集約化や統合など、生産性を高めるための様々な取り組みを迫られることになろう。また、社会保障制度の維持のために、消費税率は2028年度にかけて15%まで引き上げられ、景気の拡大を抑制しよう。

○2020年代前半の実質GDP成長率は、平均値で+0.7%と潜在成長率(+0.8%)をやや下回る伸びとなろう。東京オリンピック・パラリンピック後の景気の低迷は短期間で終了するが、人口減少、高齢化進展の影響が強まってくる中で持ち直しの勢いは鈍い。企業部門においても、業務の合理化や不採算部門の切り離しといった対策を進めていく中では、前向きな投資には動きづらい。省人化投資や効率化のための投資は積み増されるものの、設備投資の増加ペースの拡大には限界があり、生産性が向上するまでには時間が必要である。

○2020年代後半の実質GDP成長率は同+0.7%と、前半並みの伸び率を維持できる見込みである。人口減少ペースが加速し、労働投入量の減少幅が拡大するといったマイナス効果が増大する中で、落ち込み幅は小幅にとどまる。これは、供給制約の問題への危機感をばねとした企業の様々な取り組みにおいて次第に成果が表れ始め、生産性が徐々に向上し、人手不足による供給制約を回避することが可能となると期待されるためである。潜在成長率(+0.7%)との比較においても、同程度の成長を確保できるであろう。
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