経営戦略
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○ 2月17日発表の2019年10~12月期の実質GDP成長率は前期比-1.6%(年率換算-6.3%)と5四半期ぶりにマイナス成長に陥った。もっとも、消費増税と天候不順という原因が特定できており、問題は1~3月期に回復軌道に復帰できるかどうかである。その鍵を握るのが、消費増税の影響度合いと新型肺炎のマイナス効果の大きさである。
○ 消費増税の影響については、個人消費を取り巻く環境が良好な状態にあり、それほど深刻な影響はないと考えられる。また、設備投資の増加基調が維持され、経済対策効果による押し上げが期待されるなど、前回増税時と比べて様々な点で状況が改善している。さらに、半導体を中心としたICT関連需要が足元で回復しているほか、中国、米国とも景気が持ち直してくる見込みであり、輸出も回復が期待される。
○ しかし、新型肺炎の感染拡大によって、景気低迷が続くリスクが高まっている。「新型肺炎の感染拡大は2019年度中にピークアウトして収束に向かい、春先まで影響が残るが、東京オリンピック・パラリンピック開催のタイミングまでには完全に収束する」との想定の下、インバウンド需要、輸出減によって、外需を中心に1~3月期の実質GDP成長率は前期比で約0.2%押し下げられると考えた。さらに、消費者マインドの悪化などで個人消費が下振れれば、1~3月期はマイナス成長に陥る懸念もある。その後、外需を中心にマイナスの影響が4~6月期にも一部残るものの、東京オリンピック・パラリンピックの開催を含め、マイナス効果は軽微にとどまるとした。もっとも、今後の感染拡大の状況次第で、さらに景気が下振れるリスクはある。
○ この結果、2019年度の実質GDP成長率は前年比+0.4%と5年連続でプラスを達成するが、低い伸びにとどまる。
○ 2020年度の実質GDP成長率は前年比+0.2%と予想する。年度初めに新型肺炎のマイナスの影響が残るが、東京オリンピック・パラリンピックの開催に向けて個人消費を中心にイベント効果が高まると期待され、景気の押し上げに寄与しよう。年度後半は、そうしたイベント効果剥落などにより景気が一時的に停滞する可能性があるが、建設需要が旺盛であるほか、2019年度の経済対策によって公共事業が上積みされ、景気を下支えする見込みである。
○ 2021年度の実質GDP成長率は前年比+0.8%に持ち直すと見込む。5Gの本格的普及が進むことや、東京オリンピック・パラリンピックの開催をきっかけとしてインバウンド需要の増加に弾みがつくことが成長率の押し上げに寄与する。
○ 新型肺炎の影響を除けば、景気下振れリスクは引き続き海外経済の動向であり、中でも米中貿易摩擦が再燃することである。足元では対立激化は回避され、両国関係の改善が期待されているが、対立が再び深刻化し、世界経済悪化、世界的な株安、リスク回避の円高につながる可能性は残る。