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2020/2021年度短期経済見通し(2020年9月)(2次QE反映後)~感染拡大防止と経済活動の両立をはかる中、景気は緩やかな回復ペースにとどまる~

2020/09/09
調査部

○9月8日に発表された2020年4~6月期の実質GDP成長率(2次速報)は、前期比-7.9%(年率換算-28.1%)と1次速報(前期比-7.8%、年率換算-27.8%)から小幅ながら下方修正され、戦後最悪のマイナス成長の記録を更新した。新型コロナウイルスの感染拡大が日本経済に及ぼしたショックの大きさを確認する結果である。感染拡大の影響を受けて内外需要が急速に冷え込んだことが原因で、中でも個人消費と輸出の落ち込みが大きかった。

○緊急事態宣言の解除後、経済活動の再開の動きが広がり、足元の景気はすでに最悪期を脱し、個人消費や輸出を中心に持ち直しの動きがみられている。このため、7~9月期の実質GDP成長率は前期比+3.6%(年率換算+15.1%)と4四半期ぶりにプラスに転じる見込みである。設備投資の減少は続くが、外食、旅行、レジャー関連への支出が回復し、特別定額給付金の支給などの政策効果もあって個人消費は持ち直す。また、中国をはじめとする海外での経済活動の再開や、世界的なIT関連需要の回復で、輸出は底打ちする。それでも、感染拡大防止と経済活動再開の両立をはかる中で、景気の回復は緩やかなペースにとどまる見込みであり、年度後半もプラス成長を維持するものの、2020年度通年での実質GDP成長率は前年比-6.0%と戦後最悪のマイナス幅を更新する。

○景気下振れリスクも依然として大きい。増加していた感染者数は足元で減少に転じているが、収束した訳ではない。今後の感染状況次第では、消費者マインド悪化、自粛要請の強化などによる経済活動の抑制、企業の倒産、事業からの撤退、店舗閉鎖による雇用・所得環境の悪化などの動きが強まり、年度後半の景気回復ペースが急速に鈍化する懸念がある。また、新興国を中心に感染拡大が収まらず、世界経済の回復が遅れることも懸念材料である。

○2021年度は、感染拡大による経済活動への制約が徐々に薄らいでくるうえに、東京オリンピック・パラリンピックの開催によるイベント効果の押し上げや、5Gの本格的普及が進むこと、世界経済が本格的に立ち直ることなどを背景に、景気の持ち直しは続く。東京オリンピック・パラリンピック開催後にイベント効果の剥落で景気が弱含む局面があっても軽微にとどまり、年度での実質GDP成長率は前年比+3.7%と伸び率は急速に高まるであろう。それでも、新型コロナウイルスの感染拡大前の水準(2019年10~12月期)まで回復するのは2022年度にずれ込む見込みである。

○2022年度も景気の回復が続き、年度での実質GDP成長率は前年比+1.4%と潜在成長率を上回る伸びが維持される。景気の持ち直しとともに労働需給が徐々にタイト化してくるが、新型コロナウイルスの感染拡大の下で、自宅でのテレワークの推進や業務のリモート化をはじめとする各種の試みが急速に浸透した結果、通信環境などのインフラの整備、AIなど新技術の普及、働き方改革の推進とも相まって、労働力人口の増加、余暇の創出、副業・兼業の広がりなどにつながり、労働生産性を向上させ、潜在成長力の底上げを促すと期待される。

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