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改正まちづくり三法の活用の視点

2007/01/29
永柳 宏

 都市機能の市街地集約、街なか居住の推進、にぎわい回復の3つの視点から、地域総ぐるみで、駅前等の中心市街地の復興を図ろうとする「まちづくり三法」の改正が行われた。現在、計画認定に向けた全国各地の動きが活発化しているが、この改正三法の活用に向けたポイントを考えてみたい。まず、基本認識として大切なのは、改正三法をただ取り入れただけでは、地元小売業が期待する活性効果は望めないことだ。都市計画法の改正では、1万?u以下のロードサイド型専門店の立地規制は盛り込まれず、大都市圏では準工業地域への出店も可とされている。駅前と郊外・ロードサイドの商業勢力図の大きな変化は予想されない。規制面の改正は、現在でも依然として、まちなかの賑わいが残っている県庁所在地や、大都市の影響を受けない地方都市において、現状の売上維持を支える程度の効果しかないと考えるべきである。
 まちづくり交付金等による新設・拡充された支援策をどのように利用するかがポイントとなるが、これについても十分な分析と戦略が必要となる。再開発や公共公益施設の建設といった、確実に進捗が期待できる事業が、公的事業のみで行われ、期待する外部効果が発揮できないケースが想定されるからだ。計画認定を急ぐあまりに、計画記載内容に公共依存型の事業ばかりが並んでは、TMOがこれまで培ってきた自立心を削ぐ結果にもなりかねない。また、とにかく都心居住を進めれば、街に新たな活力を生み出すという安易なシナリオも、近隣大都市への通勤者や高齢者ばかりのマンション入居となってしまっては、駅前が新たな「ベットタウン」、そして「寝たきりタウン」になることも懸念される。
 重要なことは、中心市街地が、生活者・就労者・消費者に対して、新しい価値観を提案できるかどうかにかかっている。そこで本当に、「暮らしたい」「働きたい」「買いたい」という思いを受け止める何かがあるかどうかである。現在、駅前の地価下落によって、従来ソロバンのあわなかった駅前の新築マンションが分譲・賃貸が可能になり、都心居住が増大している状況がみられるが、このことは行政の政策的な取り組みによって生まれた現象ではない。経済原則から発生した自然的な流れである。この流れを活かしつつも、今後は都市・地域戦略として、都心居住・都心就業・都心商業の環境整備のあり方を考えていかなければなかない。

研究開発部
地区本部副本部長
永柳 宏

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