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住み替えが牽引する住宅市場

2007/08/06

1.住宅市場における「住み替え」需要の重要性が高まる

長期的に住宅需要を決定するのは人口と世帯の動向である。そこで、2006年に国立社会保障・人口問題研究所が発表した「日本の将来推計人口」をみると、出生中位(死亡中位)ケースでは2010年に1億2,718万人、2015年に1億2,543万人と緩やかに減少を続けると推計されている。同様に「日本の世帯数の将来推計(全国推計)」(2003年(平成15)年10月推計)によれば、一般世帯総数は2015年の5,048万世帯まで増加すると予想される。その後減少に転じ、2020年には5,027万世帯、2025年には4,964万世帯へと減少する。
近い将来住宅需要の基本となる世帯数が減少を開始することは、住宅需要がマクロ的にみて減少することを意味している。しかしながら、世帯数の減少で新規住宅需要が無くなる訳ではない。今後は、世帯の変化等で引き起こされる住み替えによる住宅需要の重要性が高まることになる。

2.住み替えパターンはどのように変わったのか

  1. 団塊ジュニアが与えるインパクト
    年齢別では34歳以下の世代でこれまでの住み替えパターンが変化してきている。団塊ジュニア世代が就学・就職時期を経過し世帯を分離していることが変化の原因であると考えられる。団塊ジュニア世代は、1971~1974年に生まれた世代を指し、2003年には30歳を過ぎている。2003年(平成15年)の「住宅・土地統計調査」によれば、「25~34歳」で「親族→借家」および「借家→借家」への住み替え割合が増加しているが、団塊ジュニア世代は年齢を重ねるにしたがって、持家を取得する世帯が今後増加すると予想される。
  2. バブル期とポストバブル期における住み替えの変化
    バブル期の地価高騰で「借家→持家」の住み替え行動が起きるピーク年齢が一時的に遅くなったが、地価下落を経て現在では元の状態に戻っている。
    一方、「持家→持家」の住み替え行動を起こす年齢が高くなっている。地価の下落によって持家の資産価値が下落し、住み替えのために譲渡すると売却損が発生していること、住宅規模大きくなり世帯構成人員の増加や成長にともなう住み替え要因が低下していることなどが原因となっていると考えられる。
  3. 東京圏、特に東京都中心部への人口回帰が拡大している
    人口移動を長期に観察すると、経済成長率が高い時期には東京圏への流入人口が増加する傾向がある。また、地価が高騰すると東京都から周辺3県へ人口が流出する傾向がある。さて、バブル崩壊後経済成長が鈍化するなか東京圏への人口流入が減少した。また同時期に地価は下落しつつも水準が高い時期が続き、東京都から周辺3県への人口流出が続いていた。近年では、地価が十分に下落したことや経済が回復したことによって東京都に人口が回帰している。

3.地価と金利の上昇が住み替えに与える影響

最近地価が上昇に転じ住宅取得価格が増加する傾向にある。また、金利の上昇によって住宅ローンの返済負担が増加している。こうした経済状況の変化は、東京都心部に向かう人口移動を抑制する要因として働くと考えられる。一方で、住宅取得コストの増加は、長期的には住宅地価の上昇を抑制させる効果が期待される。
人口・世帯が減少していく中、金利や住宅価格の動向によって特定の地域の需要が大きな影響を受けるようになると考えられる。地価や金利の上昇が長・短期的に絡み合って住み替えにどのような変化を与えるか、今後の動きが注目される。

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