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「緑の分権改革」と「定住自立圏」の本質を考える

2010/03/15
永柳 宏

(景気刺激対策から地域刺激対策に)

 平成21年11月に、鳩山総理を議長とする地域主権戦略会議が内閣府に設置され、地方分権・地域主権に向けた具体的な取り組みが進められようとしている。その具体的な工程として示されたものが「地域主権戦略の工程(案)」、いわゆる「原口プラン」である。平成22年度の夏までをフェーズIとして、「地域主権戦略大綱(仮称)」をまとめ、その後のフェーズIIでは、地方の自主財源の充実強化を図りながら、「地方政府基本法」を制定し、「緑の分権改革」「自治体連携」「出先機関改革」等を進めようとしている。その原口プランのなかでも、景気対策の一環として先行して進められようとしているのものが、「緑の分権改革」「ICT維新ビジョン」の2つである。これら施策は、「グリーンニューディール」「ICTニューディール」とも表現されるように地域経済の刺激策として注目されているが、地方においては、この呼び水を「地域主権」に引き継ぐ知恵が期待されている。
 新政権は、地域主権の受け皿として、「基礎自治体」を重視している。「平成の大合併」により全国の市町村数は、3,200から1,730(平成22年3月末予定)ほどになる。また、総務省が進める「定住自立圏構想」では、人口5万人以上の「中心市」と周辺町村の連携を図り、自立可能な圏域を目指そうとしている。こうした自治体再編によって、分権の「受け皿」にふさわしい地域づくりが並行して進められている。但し、この「受け皿」は、従来のように国からの公共投資の「受け皿」ではない。従来の国土・地方計画の圏域制度設計に用いられてきた「地方生活圏(旧建設省)」「広域市町村圏(旧自治省)」等は、全国隅々まで段階的なインフラ整備を行い、均衡のとれた国土の形成を図ることに主眼が置かれてきた。しかし「定住自立圏構想」では、中心市と周辺市町村が生活実態や将来像を、”自らで考えて”、協定を結ぶことにより、”自らで圏域”を決定するスキームとなっている。これまでの圏域制度設計にはない弾力的な圏域設定の手法を入れており、基礎自治体に「自己決定と自己責任」を求めているのである。
 この理論的なバックボーンとなっているものが、「補完性の原理」である。これは、身近な問題は、個人・家族で解決し、”できないこと”を住民・地域→市町村→都道府県→国の順に補完していく考え方で、中央集権型の行政運営の仕組みを、地域主権型の社会に転換する行政改革の基本理念となっているものである。
 一見、国からの景気対策と見られがちな「緑の分権改革」等の政策は、実は、この地域主権型社会への移行のための試金石として、地域側の知恵と人材(原口プランでは、これを”創富力”と読んでいます)の底力が問われている。タイトル副題でも書かせていただいたが、平成22年度から本格化する「景気刺激対策」を、中央依存型から地域主権型の地域マネジメントへと体質転換を図る「地域刺激対策」にしていく視点が重要である。
 三菱UFJリサーチ&コンサルティング(株)は、首都圏だけでなく、関西圏、中部圏に拠点を持つ唯一の総合シンクタンクとして、地域資源・地域人材を活かしたプログラム提案が可能である。「緑の分権改革」「ICT維新ビジョン」の具体的なプロブラムを、持続性・安定性ある地域づくりの礎とするためのお手伝いができればと考えている。

研究開発部
地区本部副本部長
永柳 宏

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