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派遣について一般従業員・管理者に正しい知識を

2010/08/25
平田 薫

 「派遣切り」という言葉に代表されるように、派遣労働は不安定雇用の代名詞のように言われるが、派遣労働者に関わる問題は、派遣会社(派遣元)のせいばかりでなく、派遣先企業や派遣スタッフ自身が「派遣」という働き方をよく理解していないために生じていることが少なくない。
 もちろん多くの企業は労働者派遣法をはじめとする労働法令の遵守を重視しているであろうし、派遣会社も法令に沿った派遣活用を促すリーフレットを派遣先に配付するなどして適正化に努めている。しかし、それはどこまで末端の社員一人一人にまで徹底されているだろうか。リーフレットは人事担当者や調達担当者どまり、派遣法セミナーに出席するのも人事担当者、という企業が少なくないのではないだろうか。だが、法令を遵守し、派遣労働者の労働条件を確保するには、派遣労働者と日々職場で接する一般の従業員や管理監督者こそが、派遣について正しい知識を持つことが必要である。
 下図は、当社が厚生労働省の委託を受けて、2008年度に事務系派遣労働者を活用している職場の管理職(部長、課長等)を対象に行ったアンケート調査結果の一部である。これによれば、「派遣スタッフに残業をどれだけさせられるかは、自社の36協定ではなく、派遣会社(派遣元)と派遣スタッフが結んでいる36協定によって決まること」を知っていた管理職は、回答者の5割にすぎない。また、「一般事務など『自由化業務』の場合、最長3年注)」の派遣受け入れ期間制限を超えると、派遣スタッフを直接雇い入れなくてはいけないこと」を知っていた人は半数に満たず、さらには自由化業務の受け入れ期間について「派遣スタッフ一人当たりではなく、同じ職場の同一業務について通算されること」を知っていた人は3割しかいないという結果となっている(図 1)。こうした状態に、派遣労働者を活用する管理職自身も不安を感じており、「うっかり法律違反をしてしまわないか、不安を感じることはないか」との問いに、約6割の人が、「よくある」ないし「時々ある」と答えている(図2)。さらに、2009年度に行った調査では、派遣労働者も、自分自身を守るはずの労働法等に対する知識を十分持っていないことが明かとなった。
 派遣先企業にとって、従業員が派遣労働について正しく理解し、必要な法的知識を持つことは、単に派遣労働者の労働条件を改善することのみならず、自社のコンプライアンス・リスク管理として重要なことである。また、派遣労働者が意欲を持って仕事をし、職場への定着率が高まることは、職場の生産性の向上にも寄与する。
 今後の労働者派遣法改正の動きはさておき、それ以前の問題として、自社の職場の派遣活用の状況をあらためて見直してみてはどうだろうか。

注)派遣受け入れ期間は原則1年だが、過半数労働組合等の意見を聞いた上で、最長3年までの延長が可能。

図1 派遣労働に関する法的知識:「知っている」とする割合
(派遣先企業管理者調査)

派遣労働に関する法的知識:「知っている」とする割合

(出所)三菱UFJリサーチ&コンサルティング『厚生労働省委託 平成20年度労働者派遣事業おける雇用管理改善推進事業報告書』2009年3月 (備考)事務系職種の派遣労働者を部下に持つ管理監督者(部課長)と指揮命令者(係長)を対象に実施したwebアンケート調査。実施時期: 2008年11月25日~26日。サンプル数515。

図2 法律違反の不安を感じることがあるか
(派遣先企業管理者調査)

法律違反の不安を感じることがあるか

(出所)同上

経済政策部
主任研究員
平田 薫

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