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震災と民間非営利活動(その1 支援者間の連携)

2011/04/14

 戦後最大級の被害と言われる東日本大震災。本コラムでは緊急支援や震災復興における民間非営利活動の現状をレポートしたい。

 震災発生直後、国際協力NGOの動きは早かった。特に緊急支援を得意とするNGOの動きは早く、団体によっては地震発生直後にプレスリリースを発行、自らのサイトで寄付を募りながら現地の情報を集め、いち早くスタッフを派遣した。あまり知られていないが、こうした緊急支援を得意とする国際協力NGOは、新潟中越地震、能登半島地震などの過去の大規模災害発生時にも緊急援助を行ってきた。例えばNPO法人JEN、公益社団法人シャンティ国際ボランティア会、NPO法人ピースウィンズジャパンなどがその一例だ。

 国内のNPOも連携を始めている。ここでは特に3つの事例を取り上げたい。
 ひとつは「東日本大震災支援全国ネットワーク」(注1)。東日本大震災における被災者支援のために結成された、全国のNPO・NGO等民間非営利活動団体のネットワークである。現在の加盟数は会員、協力団体(営利企業等も含む)合わせて239団体。災害援助に関わるNPOであるレスキューストックヤード、日本における市民活動の基盤づくりを行ってきた日本NPOセンター、阪神淡路大震災から3年後の98年から活動を続ける東京災害ボランティアネットワークの3団体から代表世話人が出され、地震発生から3週間後の3月30日に発足した。
 活動は主に(1)寄付の効果的活用のための団体連携を行う「寄付チーム」、(2)被災者支援を行う各地の災害ボランティアセンター(以下:災害VC)や地域のNPOセンターとの情報交換と連携を行う「地域チーム」、(3)政府・自治体との連携・協議、要望調整を行う「制度チーム」、(4)被災地を支援するボランティアに共通ルールやガイドラインを提供し、円滑な被災地支援をバックアップする「ガイドラインチーム」、(5)被災地支援に関する現況情報を提供する「情報チーム」、(6)学生や若者等による被災地支援をバックアップする「ユースチーム」、(7)国内NGOや海外から支援に来日する民間非営利団体との相互調整・情報共有を行う「国際チーム」、(8)メディア対応を行う「広報チーム」の8つに分かれており、民間非営利団体の相互意見調整のプラットフォームの役割を果たしている。
 4月7日には、震災ボランティア・NPO等と各省庁との第1回連絡会議を開催。160名を超える参加者と8省庁14課が意見交換を行い、政府と民間非営利団体との情報連携の下地が出来つつある。

 もうひとつは「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」(注2)。これは、民間非営利団体・中央共同募金会・企業・社会福祉協議会が協働するネットワーク組織である。
 同会議の発足は2004年に遡る。新潟中越地震が発生した2004年、被災地には15の災害VCが設置された。翌年にはこの15の災害VCの検証を目的に、前身となる「災害ボランティア・市民活動支援に関する検証プロジェクト会議」が発足。さらには2007年の能登半島沖地震での経験を経て、「災害ボランティア活動支援プロジェクト会議」の発足に至った。

 同会議の特徴は、災害時に設置されるVCに対して広域的な観点から支援を行う点にある。
 災害発生時、災害VCは地元を主体として立ち上げられる。多くの場合、社会福祉協議会が中心となり、自治体や地域自治組織、NPO等とも連携をしながら運営が行われる。しかし災害VCはそれと同時に全国からの物資や専門職人材、ボランティアがかけつける場でもある。まして今回のように広範囲にわたる激甚災害の場合、より広域の資源を繋げる機能は不可欠だ。今回の震災で設置された災害VCは99箇所(4/10現在、全国社会福祉協議会調べ)。災害VC相互の情報共有も欠かせない。そこで災害ボランティア活動支援プロジェクト会議では、こうした災害VCと連携を取り、広域的な支援の窓口として連絡調整役を果たしている。
 例えば物資について。雲仙普賢岳の噴火や阪神淡路大震災、新潟中越地震の際など、過去の大規模災害では救援物資が被災地にあふれた。必要な場所に必要なものが届かず、善意の固まりが逆に被災地を悩ませる現象が長く繰り返されてきたとも言える。そこで災害ボランティア活動支援プロジェクト会議では、災害援助物資について、より現場に近い現地の災害VCと連絡を取り、現場ニーズを把握、その情報に基づき物資提供を企業などに呼びかけ、各地の災害VCと提供企業との間で数量や手配日時の調整を行うなど、無理と無駄が発生しない体制を構築している。
 あるいは人的支援について。災害ボランティア活動支援プロジェクト会議では、災害VCの中核人材の派遣を行っている。一般的に激甚災害を数回経験する被災地は少ない。災害VCのスタッフは、場合によっては自らも被災者でありながら、大規模災害の混乱の中、手探りで災害VCを立ち上げざるを得ない事態に直面する。殆どのスタッフにとっては何もかもが初めての体験である。そこで災害ボランティア活動支援プロジェクトが中心となり、過去に災害支援活動を経験した人材を派遣することで、現地の災害VCの早期立ち上げや運営の支援を行っている。

 このほかにも長期化が予想される避難生活を様々な分野の専門性を持つNPOが連携して支えるべく誕生した「被災者をNPOとつないで支える合同プロジェクト」などの動きもある。被災地には要介護者・外国人・障がい者・アレルギーや難病を抱える方など多様な属性の被災者が存在する。しかし今までの災害支援では、緊急時の広域的な支援においてこうした被災者のSOSが見逃されがちだと言われてきた。同プロジェクトは日ごろから個別具体的な支援を提供している専門的なNPOが現場に入り、被災者のニーズを把握しながらひとつひとつの課題を解決することで、避難先でのストレスを軽減し状況の悪化を防ぐことを目指している。プロジェクトは宮城県を中心に市民活動支援を行ってきたNPO法人せんだい・みやぎNPOセンターと、全国のNPOが連携し立ち上げられた。既に数回被災地に対するニーズ調査を行っており、4月中旬からの専門NPO等の派遣を目指している。

 民間非営利活動は、往々にしてニーズに寄り添い個別具体的な支援を行う存在である。往々にして個別支援は非効率になりがちだと言われる。しかし今回紹介した事例は、個別ニーズに寄り添いながらも、過去の振り返りを活かし、より効率的な支援も同時に追求している。
 セクター間の連携を促進し、地域間の情報を繋ぐことで、即効性のある支援と長期的支援の双方を可能にすること。まさに民間非営利活動の持つしなやかさを発揮する局面が来ている。

(注1)東日本大震災支援全国ネットワーク http://www.jpn-civil.net/ なお東日本大震災支援全国ネットワークでは、災害ボランティアの活動ガイドラインを提供している。活動に赴く際には是非一読を薦めたい。ガイドラインは同ウェブサイトから参照が可能。
(注2)災害ボランティア活動支援プロジェクト会議http://www.shien-p-saigai.org/

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