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引き継がれるレガシー:ロンドン報告2015(その1)

2015/08/24
本橋 直樹 奥野 麻衣子 日本2020戦略室

当社内横断的組織「日本2020戦略室」のご紹介

2020年の夏季オリンピック・パラリンピック競技大会の東京開催が決まり、大会企画運営、施設整備、会場周辺のまちづくり、海外からの観光客誘致、スポーツ振興、各種キャンプ地誘致等、さまざまな取り組みが動き始めています。当社は、多様で幅広い専門性を持つ研究員や、外部専門家とのネットワークを活用して、関係者の皆様の取り組みをお手伝いいたしております。
>>「日本2020戦略室」の詳細はこちら

1.はじめに

当社「日本2020戦略室」では、過去のオリンピック・パラリンピック大会等の知見を幅広く吸収し、これを来るべき2020年とその先の社会に活かすべく自主調査を実施している。本稿では、先日行った訪英調査の際に目にした、レガシーを後世に引き継ぐ為のイベントについて紹介する。

2.Sainsbury’s Anniversary GamesとNational Paralympic Day

7月24~26日の3日間、2012年ロンドン大会の会場となったQueen Elisabeth Olympic Park(QEOP/オリンピックパーク)のメインスタジアムを中心に、大会を記念する陸上競技その他のイベントが開催された。筆者らは、残念ながらチケットを入手出来ず実際に競技を観戦することは出来なかったが、多数の来場者でパークがにぎわっている様子やスタジアムを埋めている観客を目にし、その歓声やどよめきを耳にすることができた。

写真1:多数の来場者で賑わう週末のオリンピックパーク

Sainsbury’s Anniversary Gamesは大会翌年の2013年から毎年開催されており、ロンドン大会の金メダリストを含め英国陸上競技のトップレベル選手が多数参加するスポーツイベントである。関係者によれば、大変人気があるためチケットは早々に売り切れてしまうという。今年は、あのウサイン・ボルト選手も参加し、大盛況だった模様である(注1)

写真2:Sainsbury’s Anniversary Games競技会場に併設されたイベント会場

しかしながら、同イベントに関して筆者らが特に注目したいのは、最終日(3日目)の内容である。この日は、ロンドン大会でのパラリンピックに対する人々の熱狂を継承すべく英国パラリンピック協会(British Paralympic Association)が同じく2013年から毎年行っているNational Paralympic Dayの関連イベントも兼ねており、陸上については全種目パラリンピック競技が行われる(注2)と共に、隣接するAquatic Centre(ロンドン大会での水泳競技場)ではパラリンピックの水泳大会も同時開催されていた。さらには、公園内でパラリンピック競技の無料体験や、ロンドン市主催の障がい者による芸術文化プログラムであるMayor of London’s Liberty Festivalも併せて行われ、当にパラリンピックデーそのものとなったようである。

写真3:大会は、ロンドン市内やSainsbury’s店内のいたる所で、大々的に告知されていた

3.Prudential Ride London 2015

National Paralympic Dayの次の週末に当たる8/1-2には、Prudential Ride Londonなる一大自転車イベントが開催された。自転車は、ロンドン大会の主要レガシーの1つであり、市民の間で自転車競技への関心が非常に高まった他、スポーツや移動手段としての自転車利用も大幅に増加しており、これを支えるインフラ整備等も積極的に進められている(注3)。同大会は、このような自転車に関するレガシーの継承等を目的に、ロンドン市長の肝入りで2013年より開催されているもので、前述のNational Paralympic Dayのイベントと同様に今年で3回目の開催となった。

8/2(日)には、手漕ぎ自転車を含めた4種類の本格的レースがロンドン市内及びその近郊で行われた他、その前日の8/1(土)には、Freecycle としてロンドン中心部の大通りを大規模に通行止にした上での参加無料の市民サイクリング大会が行われ、多数の参加者が都心のサイクリングを大いに楽しんでいた(筆者らも飛び込みで部分参加)。後日、主催者HPで確認したところ、参加者数は約7万人、そのための交通規制延長は10マイル(約16km)にも上ったとのことである。

写真4:Ride Londonのポスターもロンドン市内に貼り出されていた

写真5:同イベントの為に市内の主要道路が閉鎖され、普段は車であふれるロンドン中心部で大勢の参加者がサイクリングを楽しんでいた。歩行者横断を助けるスタッフも多数配置。

4.まとめ

本稿で紹介した2つのイベントは、開催が時期的にたまたま重なったものではあるが、両イベント共にその人気は相当なものであった。また、HPによれば、両イベントとも来年も継続して開催されることが既に決まっており、年中行事としてロンドン市民の日常にしっかり根付いているとの印象を受けた。

言うまでもなく、レガシーは創出することはもちろんだが、これを継続させ根付かせることはさらに難しい。ロンドンにおけるこれらイベントの構想が大会開催以前からあったのかどうかは不明だが、今後、東京のレガシーを考えるに際しては、このようなレガシーを後世に引き継ぐ具体策についても、早い段階から考えるようにしたいものである。

【参考】
Sainsbury’s Anniversary Games: http://queenelizabetholympicpark.co.uk/whats-on/events/2015/5/sainsburys-anniversary-games
National Paralympic Day: http://queenelizabetholympicpark.co.uk/whats-on/events/2015/3/national-paralympic-day-2015
Mayor of London’s Liberty Festival:
http://queenelizabetholympicpark.co.uk/whats-on/events/2015/6/npd-liberty-festival
The 2015 IPC Athletics Grand Prix series:
http://www.paralympic.org/athletics/grand-prix-2015
Prudential London Ride 2015:
http://www.prudentialridelondon.co.uk/

(注1)Sainsbury’s 社は、2012年ロンドンパラリンピック競技大会の公式スポンサーを務めていた。
(注2)同大会は、本年2月から世界計10都市で開催されたThe 2015 IPC Athletics Grand Prix seriesの最終戦も兼ねていた。
(注3)詳細については、サーチナウ「2020年に向けロンドンに学ぶ自転車交通のあり方」(http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/search_now/sn141128
「2020年に向けロンドンに学ぶ交通面でのレガシー」(http://www.murc.jp/thinktank/rc/column/search_now/sn150320)等を参照
研究開発部
主任研究員
本橋 直樹
環境・エネルギー部
主任研究員
奥野 麻衣子

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