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FOOD×TECH vol.4:フードプリンティングと食の造形がもたらす新たな価値

2015/12/04
中田 雄介

本稿は、新たなテクノロジーの台頭により、社会の慣習がどのように変化していくのか、「食(つくること/たべること)」を事例に考える社内自主研究(注1)「FOOD×TECH」プロジェクトの内容を紹介するものである。
※Vol.1はこちら ⇒ テクノロジーがもたらす「食」の多様化
※Vol.2はこちら ⇒ 食の数値化とその未来
※Vol.3はこちら ⇒ 味覚の数値化による新たな調理の形

 

1.メイカームーブメントと3Dプリンタ

【デジタル化の影響:消費 – オーダーメイド(個人最適)の拡がり】

私たちが日常生活のなかで購入・利用する商品の多くは『レディメイド(既製品)』であるが、自分の好みを最大限反映させた世界に1点しかない『オーダーメイド』も世の中には存在する。しかし、オーダーメイドや商品のカスタマイズには、消費者の手に渡るまでに要する時間・コストが既製品以上にかかることから、お金がかかる贅沢とみなされてきた。

こうした状況が、3DCAD(立体図形として設計等を行うことができる3Dモデリングのソフト)や3Dプリンタ(3DCADのデータをもとに立体を作る機器)の普及に伴い、『ものを作るという行為(設計・加工・組立など)』がデジタルの領域に浸透・移行していくことで、いま大きく変わりつつある。オーダーメイドという点において、デジタルなものづくり(デジタルファブリケーション)は、従前の『大量生産⇔少量生産』という二項対立を超えて、消費者個人の好みに対応した機能のカスタマイズや、『超多品種少量生産(注2)』という個人向けに特化した生産を可能にし、そのハードルを著しく下げるものと言われている。

また、ものづくりのデジタル化は、製造業だけでなく、製品の流通・小売も含めた産業構造や社会生活のあり方に大きな変化をもたらす可能性があると言われている。例えば、近年話題のドイツにおけるIndustry4.0では、ITで製造現場がつながり、さらに人工知能などのテクノロジーを活用することで生産効率を飛躍的に高め、第4次産業革命を達成することが企図されている(注3)。なお、そこでは消費者の個別のニーズに応じた商品(スマート・プロダクト)を自動生産するためのシステム設計が検討されており、商品のカスタマイズやオーダーメイド生産という観点で、上述の動きと流れを同じくするものである。。

このように、多種多様なセンサを通じ、様々な環境・行動に関するデータを収集するとともに、人工知能等を活用した将来予測などを受け、人と機械が協調して『個別の状況やニーズに最適化(=カスタマイズ、オーダーメイド)』したものづくり/サービスの供給を行う産業全体の新たな仕組みづくりが、現在、グローバルな競争・協調(注4)の下で進められている(注5)

【デジタル化による影響:生産 – パーソナル化(自分で作る)、シェア(他者と共有)】

3Dプリンタ等の新たな機器の普及は産業としてのものづくりだけでなく、これまで『ものづくり』をしていなかった人/できなかった人に対し、新たに『ものをつくる』ことに手を出す機会を提供することが期待されている。そして、その先に、これまで日曜大工などを嗜好してきた人だけでなく、多くの人々が『もの』の作り手になっていく社会が訪れる未来が想起されている。

こうした点に関連し、「人間は生まれながらメイカーズ(作り手)」であり、3Dプリンタ等の機器やデザインデータのオープンソース化がメイカームーブメントを加速させていると主張する『MAKERS』の著者クリス・アンダーソンは、『ものをつくる』という行為のパーソナル化(パーソナル・ファブリケーション)について次のように指摘している。

いまや、モノはスクリーン上でデザインされ、デジタルファイルとしてオンライン上でシェアされる。これまでの数十年間に工場や工業デザインの会社で行われてきたことが、個人のデスクトップや工房でも行われるようになりつつある。

また、ものづくりの『デジタル化』『パーソナル化』は生産工程やサービス提供の形の変化に留まるものではない。例えば、個人がカスタマイズしたデザインや、付加した機能形態などは、デジタルなものづくりにおいて、オンラインのプラットフォーム上で『シェア』されデザインデータとして水平展開されることにより、消費が連鎖していくことも大いに想定されうる。

このように、ものづくりのデジタル化は生産・流通・消費の仕方、さらにはそれらを取り巻く慣習などに大きな変化をもたらす可能性があるのである。そして、こうした点を踏まえ、先のアンダーソンはものづくりの新たな潮流としての「メイカームーブメント」について、次のように特徴を整理している。

図表:メイカームーブメントの特徴

図表:メイカームーブメントの特徴

出典:クリス・アンダーソン(2012)『MAKERS -21世紀の産業革命が始まる-』NHK出版(p.32)

2.3Dプリンタ×食に対する期待

【食のオーダーメイド(個人への最適化)】

私たちが食に求める要素とはどのようなものだろうか。外食や中食の場合、人は『おいしさ』だけでなく、『安さ(価格)』『早さ(スピード)』を求めることもあるだろう。また、病院や高齢者福祉施設における介護食では、『栄養価が高いこと』『柔らかいこと(噛めること)』などが重視されている。このように、『食』に求められる要素・役割は、当然のことながら、消費者の属性や食べるコンテクストによって大きく異なるのである。

食に対する期待は個人により千差万別であり、『レディメイド(既製品)』では十分に対応することができない。しかし、自宅で自らの好みに応じ調理する機会は排除されていないものの、実際に自分が期待する『食』の水準に自ら到達できるかというと、『料理をつくる』という行為はそれほど容易ではない。そのため、デジタルテクノロジーによる『料理をつくる』という行為の革新を考える場合、これまで『料理をつくらなかった』人が『つくるようになる』というよりも、『上手くつくれなかった』人が『簡単につくることができるようになる』ということの方が、社会的なニーズがあると考えることもできる。

一方、近年、メディア等を通じて未来の調理機器として報じられる家庭用3Dフードプリンタについては、お菓子を作ることを目的とした機器などがこれまでも開発されてきた。2015年にアメリカで開催された家電見本市(CES:Consumer Electronics Show)においても、ペースト状の素材をもとに、様々な『造形』のクッキーやピザの生地を『つくる(成形する)』3Dフードプリンタが展示され、話題を集めたと報じられている。しかし、現在話題に挙がる3Dプリンタの開発プロジェクトを見る限り、必ずしも、これまで『料理を上手くつくれなかった』人が『簡単に作ることができるようになる』という、人と機械が協調する未来が短期的に実現されると考えることは難しい。

では、3Dフードプリンタなどの新たなデジタル調理機器は、私たちの食生活にどのような価値を提供してくれるものと解釈すべきなのだろうか。

【「目で見て楽しむ食」の普及の形とは?】

食は『五感(視覚/聴覚/味覚/触覚/嗅覚)で味わう』ものであると言われることがあるが、自ら『料理をつくる』場合には、味覚面のおいしさ以上に、外食レストランでなされるような食材に合わせたお皿の選択、食材の彩りを意識した盛り付けなどの『視覚面のおいしさ』を再現することの方が難しいのではないだろうか。

また、食の数値化により、デジタルテクノロジーを通じて『個人の味覚に最適化されたオーダーメイド料理』をつくることも近未来の将来像として期待されている。しかし、『今できることが改善/効率化する』こと以上に、『今できないことが、できるようになる』ことの方がインパクトは大きいと考えるとき、3Dフードプリンティングをはじめとする新たなテクノロジーにより『視覚に訴える食(目で見て楽しむ食)』が台頭・普及し、日常化していくことは、個人の味覚への最適化以上に、『食に関する価値観』や『おいしさの評価軸』を拡張し、多大なる社会的な影響を引き起こすものであると考えることもできる。

そして、こうした将来像を踏まえ、先のメイカームーブメントの3つの特徴を、『料理・調理』『3Dフードプリンティング』に置き換えイメージを膨らませた場合、次のように整理することができるのではないだろうか。

図表:メイカームーブメントを起点とした3Dフードプリンティングの利用イメージ

図表:メイカームーブメントを起点とした3Dフードプリンティングの利用イメージ

注釈:図左側は、クリス・アンダーソンが指摘するメイカームーブメントの特徴からの引用。図右側の記載は、同指摘を参考にフードプリンティングの利用シーンを想起して筆者が作成したもの。
資料:クリス・アンダーソン(2012)『MAKERS -21世紀の産業革命が始まる-』NHK出版(p.32)をベースに作成。

 

ただし、日常生活のなかで、食事の準備や家庭で料理を食べる行為にかけられる時間は必ずしも長くない。そのため、仮に技術的な課題がクリアされ、デジタル調理器具を通じて『目で見て楽しむ食』を誰もが自らデザインし調理できるようになったとしても、『技術的な実現可能性』がそのまま『社会的な普及・適用』に直結するわけではない。食にかける時間や手間などの観点から、日常生活において、『料理をつくる/たべる』行為が激変する将来像は、少なくとも短期的に描くことは現実的ではない。

一方、誕生日や結婚記念日などのイベント時の食事、あるいは自分へのご褒美としての食事には、いつも以上に予算や時間をかける人は少なくない。そのため、『非日常の食』に対し、レストランなどの外食産業が提供する新たな付加価値として、デジタルテクノロジーを活用した『目で見て楽しむ食』が浸透していく将来像の方が、日常への普及よりもイメージがしやすいのではないだろうか。

また、先のメイカームーブメントと同様、料理の造形デザイン(レシピ)がオンラインでシェアされることに焦点を置く場合、『目で見て楽しむ食』は家族や友人間のメッセージの役割を担うものとしても捉えることができるのではないか。『栄養摂取・健康管理』や『おいしさを味わう』という意味合いとは別に、メディア(メッセージの伝達媒体)として、これまでにない全く新しい意味合い/機能・役割が食に付加された将来像を思い描くこともできるだろう。

このように、現在、研究開発の途上にある3Dフードプリンティングなどの新たなデジタルテクノロジーを通じて、私たちの『料理をつくる』『料理をたべる』という行為がどのように変化するのか/変化しないのか、様々にイメージを膨らませることはできる。しかし、実際にこうした分野の研究に携わる研究者は、どのような将来像を思い描いているのだろうか。次節では、「光を活用したソフト&ウェット系の解析装置の開発と実用化」などを手掛ける山形大学の古川英光教授へのインタビューをもとに、こうした技術の実現及び技術が導く将来像について概観することにしたい。

3.フードプリンティング技術を用いた取組

【米沢いただきます研究会と「トランスフォーム食」】

山形大学の古川研究室では、バスタブ型の3Dゲルプリンタや医療分野等に活用可能な生体適合性のあるゲルの開発等を行っている。また、研究活動と並行して、3Dプリンタの利用普及やイノベーションの創出に向け、次のような取組を行っている。

米沢いただきます研究会

○新産業の開拓・参入を通じて地域内企業の活力とイノベーションを生み、「ものづくり」のまち・米沢の活性化を目指すことを目的に「米沢新産業創出協議会」が発足。

○同協議会のなかに、地域の食材と人材を活用し、高齢者急増や食物アレルギー、地域の活性化や新しいビジネスの創出など地域のさまざまな課題を「食のイノベーション」から開放するため、「米沢いただきます研究会」を結成。

○同研究会では、最先端技術の『3Dプリンター』と『食』を融合させ、食品3Dゲルプリンターでそれぞれの体調にあったオーダーメイド食を創ることを研究。

出典:米沢新産業創出協議会ウェブサイト
(http://y-sansoukyo.jp/yonezawa_itadakimasu.html)

 

山形大学古川研究室に加え、山形県立米沢栄養大学や県立米沢高等学校、民間の農業事業者や飲食店などからなる「米沢いただきます研究会」では、『地方ならではの文化(米沢の食材、米沢らしい形)』と『新しいテクノロジー(3Dプリンタ)』の融合により、新たな価値を創造することを目指し取り組みが行われている。

これまでにも同研究会では、上杉鷹山が各家庭で食用に『鯉』を育てることを推奨したという歴史に基づき、3Dプリンタで制作した『鯉の型』と、白味噌や豆乳、地元食材である『うこぎ』を用い、ゼラチンをつなぎとした「3D恋鯉ゼリー」を開発している。なお、このゼリー状の食品は、汁物や鍋のなかに入れる熱を加えることで、徐々に溶けていくものであることから、見た目が時間の経過とともに変化する「3Dトランスフォーム食品」、食べる人にサプライズを与える料理、『目で見て楽しむ食』を具現化した新たな料理と位置付けることもできる。

図表:米沢いただきます研究会が開発した「3D恋鯉ゼリー」

図表:米沢いただきます研究会が開発した「3D恋鯉ゼリー」

出典:宮瑾、佐々木千佳、芹澤凌、齊藤梓、牧野真人、川上勝、古川英光(2015)「未来の食事を3Dプリンタでつくる-食品3Dプリンタ E-CHEF活用で、見た目も美しいゼリー食品の開発へ」(第64回高分子学会年次大会 記者発表資料)

【オーダーメイド・シェア・「たべない食」】

考案・改良したレシピ、料理を撮影した写真などを、オンラインの共有サイトに投稿し、親しい友人だけでなく、不特定多数のネットユーザーに『シェア』することを起点としたコミュニケーションが、近年当たり前のように行われている。

こうした状況に対し、古川教授は「投稿サイトを見ると、ユーザーの多くは家庭で調理するための小ロットのレシピを紹介している。小ロットかつ個々人がカスタマイズするということは、3Dプリンタの特徴に近い面がある」と述べ、料理レシピ等の共有サイトを中心とした人々の食に対する意識と、3Dプリンタにみられる『オーダーメイド/カスタマイズ』の視点との親和性を指摘している。

また、メイカームーブメントの一側面でもある『シェア』に関連し、古川教授は「今後、食の分野における3Dプリンタの活用が広がっていくことで、形がキレイすぎるため「たべない食」(写真を撮りシェアするための食、飾っておくための食)という概念が台頭する」可能性を指摘する。さらに、シェアという点から『食』を捉える場合、「栄養摂取や健康管理のための食事ではなく、どれだけ注目・関心を喚起することができるかという点が重要である。また、レシピサイトにはSNSにみられる承認欲求と同種の側面がある。フードプリンティングの普及に向けて、人々のこうした承認欲求に刺さる形で3Dプリンタのデザイン・プラットフォームを運営・展開していくことが大事である」と指摘している。

このように、『見せる/魅せる食』を通じて、シェアという行為の背後にある人々の承認欲求をくすぐることが、3Dフードプリンティングに係るプラットフォームの活性化につながるとともに、中長期的に『食』に対する人々の価値観、考え方・評価軸を変化させていくと考えることもできる。

4.代替ではなく、新たな価値の創造を目指すフードプリンティング

【現時点における技術的な課題と対応】

SF的な観点から、3Dフードプリンティングをはじめとした新たなテクノロジーの台頭・普及は、近い将来、『料理をつくる』という行為に劇的な変化をもたらし、既存の行為がテクノロジーにより『代替』されるかのような未来をイメージする人もいるだろう。

しかし、現時点において、フードプリンティングには食材が柔らかいと上手く積層化できないなどの技術的な課題があるとともに、3Dフードプリンティングでつくることができる料理の幅には大きな制約がある。そのため、山形大学の古川研究室では、先に紹介した『3D恋鯉ゼリー』にみられるように、フードプリンティングそのものによる料理ではなく、3Dプリンタによりゼリーを固める型を作り、その型を通じて『食』に新たな造形を与える取組を行っている。

なお、下記のインタビューのなかでも触れているように、古川教授は「技術的に満足いくレベルに達しないからやらない」のではなく、現時点でできる利活用を進めていくことが、新たなテクノロジーの社会への普及につながると考えており、「3D造形」×「食」という点から、新たな価値を社会に提示するべく積極的な取組を行っている。

【古川教授インタビュー結果】
フードプリンティングに関する「課題」と「開発における考え方」

○現在のところ、食材をもとに積層しフードプリンティングを作ることは技術的に難しい。食材が柔らかいとうまく積層ができないこと、ノズルから出てすぐ固まらないなどの課題(食材の糖分や酸性度により設定が難しい)がある。

○現在も、3Dゲルプリンタを用いてお寿司のような形状のものを作ることはできるが、逆にそれ以上のものを作ることは難しい。

○また、技術的な観点から積層化できる食材を選定する場合、味やテクスチャーに制約が生じてしまう。そのため、型をつくり、ゼリー食品を作る方が、現時点では料理の幅があり、食に新たな価値を提示することができると考えている。

○インクジェット型の3Dプリンタで、食材(例:チョコレート)や形を限定すれば、今でもプリンティングフードは作ることができる。ただし、美味しいものができるというわけではない。

○「様々な食材を自由に用いることができない」「様々な造形をつくることができない」からやらないのではなく、現時点でできること(3Dプリンタで型を作りゼリー食品をつくること。CADデータをシェアすること)を進めていくことが重要である。

 

【食に関する新たな価値】

現在のところ、3Dフードプリンタは必ずしも主食をつくる行為を代替する調理機器になりえるものではなく、メイカームーブメントが提唱するような『ものづくり』のデジタル化による生産・流通・消費に生じる劇的な変化に比べ、産業全体にもたらす影響は小さいと考えられる。一方、料理に造形を与えることで、『目で見て楽しむ食』、あるいは「米沢いただきます研究会」や古川教授が提唱する『トランスフォーム食』、『たべない食』という新たなジャンルを創出し、従前の『食に関する価値観』や『おいしさの評価軸』を拡張する可能性があることを踏まえると、こうしたテクノロジーが社会文化・慣習に及ぼす影響は極めて大きいと考えるべきであろう。

また、特に『食育』という観点から、食は栄養摂取・健康管理、地産地消との関係のなかで語られることも少なくない。ただし、家庭料理に「視覚」という調理表現が加わる場合、そこでは「食」を通じた家庭内でのメッセージのやり取りが生じる可能性もあるのではないか。そして、「食」が家庭内の親子間のコミュニケーションの円滑化に資するものとなる場合、『目で見て楽しむプリンティングフード』が食を通じた育児・教育の一形態(新たな食育)と位置付けられていくことも十分想起しうることだろう。

図表:親子のコミュニケーション/メッセージの伝達機能を担う「食」のイメージ

図表:親子のコミュニケーション/メッセージの伝達機能を担う「食」のイメージ

このように、新たなテクノロジーの普及は私たちの文化・慣習に大きな影響をもたらしうるものである。また、人間の様々な行為の機械による代替・協調は、効率性への寄与のみならず、『新たな価値』『新たな豊かさ』を創出する可能性を有するものである。次回以降のレポートでは、『料理をつくること/たべること』を中心に、国はどのような将来ビジョンの下、どのような研究開発を推進しているのか、また、民間企業が研究開発の成果を市場に普及させていくにあたり、どのような戦略や枠組みを通じて、新たな社会文化・慣習を席巻しようとしているのか事例とともに考えていくことにしたい。

(注1)弊社では、自主研究の支援枠組みとして、将来の新しい事業創出をめざした社員の研究・活動に対し投資「インキュベーションファンド」を設けている。本プロジェクトは、同枠組みの助成を受け実施するものである。
(注2)すすわたり(2013;195)「FABが産業を変える -超多品種少量生産という未来の製造-」所収『FABに何が可能か -「つくりながら生きる」21世紀の野生の思考-』シナノ印刷株式会社
(注3)ドイツのIndustry4.0やアメリカのIndustry Internet Consortiumについては、尾木蔵人(2015)『決定版インダストリー4.0 -第4次産業革命の全貌-』東洋経済新報社を参照。
(注4)GEやIBM、インテルなどを中心に、アメリカでは2014年3月にIndustrial Internet Consortiumが発足し、ものづくりの現場の革新だけでなく、製品のアフターケア・メンテナンス等のサービスを含めたデジタル化を推し進める取組がなされている。
(注5)ドイツやアメリカなどの動きを受け、我が国ではIoT・Cyber Physical System(CPS)・ビッグデータ・AI等に対応し、企業・業種の枠を超えて産官学で利活用を促進するため、2015年10月に「IoT推進コンソーシアム」が設立。また、同組織内に先進的なモデル事業の創出等を推進する「IoT推進ラボ」が設置された。
(注6)クリス・アンダーソン(2012;27)『MAKERS -21世紀の産業革命が始まる-』NHK出版
公共経営・地域政策部
副主任研究員
中田 雄介

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