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防災・減災対策を考えなおすシリーズ VI

災害廃棄物処理における一次仮置場設置運営の手引き

2020/09/04
政策研究事業本部 研究開発部 主任研究員 筒井 康史

本稿は、環境省中国四国地方環境事務所からの委託調査を通じて作成させていただいた『一次仮置場設置運営の手引き』について紹介させていただきます。

作成の背景

近年毎年のように各地で大規模災害が発生しています。発災後のマスコミ報道で、「被災現場の道路に災害廃棄物が山積みされた映像」が流され、「迅速かつ適切な処理を求める声」が聴かれます。
地方自治体においては、大規模災害発生時対応のため「地域防災計画」や「災害廃棄物処理計画」等を定め、事前準備対策を進めていますが、実際の現場では、十分な対応ができていないなどの問題が指摘されています。
こうした指摘をふまえ、大規模災害が発生した際に、災害廃棄物の処理に関して、初動期に最も重要な位置づけとなる「一次仮置場」の設置・運営に焦点を当て、地方自治体の担当者が迅速に対処できるようにと手引きを作成しました。

Point1.「仮置場の定義」

災害廃棄物の流れ(一次仮置場の位置づけ)は、環境省の「災害廃棄物対策指針 技術資料」では下記のように示しています。

<災害廃棄物の流れ(一次仮置場の位置づけ)>

災害廃棄物の流れ(一次仮置場の位置づけ)

※被災現場においては、小規模な集積所を設定して災害廃棄物を集積する場合もある。
※再生資材仮置きヤードとは、復旧・復興事業が開始され、再生資材が搬出されるまでの間、仮の受入先として一時保管する場所のこと。
資料:災害廃棄物対策指針 技術資料「技18-1 仮置場の分類」(H30.4.1)

仮置場は、災害廃棄物を分別、保管、管理するために一時的に集積する場所であり、被災した家財を含む災害廃棄物を速やかに撤去、処理・処分するために設置する場所です。
仮置場は、災害廃棄物処理のために自治体が設置・管理する場所であり、住民が自宅近傍に自ら設置した災害廃棄物の「集積所」や通常の生活ごみを収集するための集積場所と異なります。
背景で示しているように、「被災現場の道路に山積みされた」状況を回避するために、「一次仮置場」を早期に開設し、迅速に処理することが重要になります。

Point2.「勝手集積場所を生じさせない」

本手引き策定時には、上記の仮置場の定義検討の際、住民によって勝手に集積された「勝手集積場所」について問題視しました。

<仮置場・集積所の呼称(定義)について>

仮置場・集積所の呼称(定義)について

※資料:環境省中国四国地方環境事務所「平成30年度 大規模災害時における中国四国ブロックでの広域的な災害廃棄物対策に関する調査検討業務報告書」(平成31年3月)をもとに作成

近年毎年のように起きている「水害」は、地震等に比べると、生活再建に向けての動きが早く、水が引いた直後には浸水した家屋から早期に「片付けごみ」等が排出される場合が多いです。この時、一次仮置場の開設が不十分であったり、設置場所が被災地域から遠い、といったことが原因で被災現場の近くの「空き地や道路」等に、住民により自然発生的に片付けごみ等が排出されてしまうケースが生じています。これを放置すると、災害廃棄物が混合状態で積み上げられ、衛生面・安全面等の危険が発生し、適正処理に時間を擁してしまいます。
手引きでは管理できないまま勝手に集積してしまった「勝手集積場所」を生じさせないようにし、市町村が適切に処理するために暫定的に認め管理する「管理集積所」を区別して、対応するように求めています。

Point3.「仮置場の設置・開設の流れとポイント」

本手引きを作成する際に、実際に災害廃棄物処理を行った自治体や有識者等にヒアリングを行い、仮置場の設置・開設・運営時に留意することを確認しています。
実際に設置・開設しても、「受入体制が不十分、場内の人員不足から分別対応ができず混廃化、管理が行き届かず火災や腐臭の発生、夜間の不法投棄、周辺住民からの苦情など」の問題が生じた事例があります。
こうした問題を生じさせないよう、「仮置場の設置・開設の流れと主なポイント」「必要な資機材リスト」等を整理しています。
有識者からは「分厚いマニュアルは読んでくれない」「災害直後の混乱期に一目でわかるマニュアルにすべき」という要請に基づいて「仮置場の設置・開設の流れと主なポイント(フロー図)」を作成しました。
このフロー図だけチェックいただくだけでも必要最小限のPointが確認できるので是非参照ください。

仮置場の設置開設の流れとポイント

本手引きは、環境省中国四国地方環境事務所のサイトから公開される予定です。
大規模災害発生時には、災害廃棄物処理計画を基本に事前準備を行いつつ、万が一の際に柔軟な対応ができるよう、各自治体の実状・災害の状況に応じて本手引きを参考に、迅速かつ着実な災害廃棄物対応を進めていただきたいと思います。

研究開発部
主任研究員
筒井 康史

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