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地域格差がもたらす集団間葛藤と共通目標としての環境問題

2007/10/01

 地球規模の環境問題を巡っては、先進国と途上国、あるいは先進国同士でも利害は一致しない。それでもなお、利害の不一致を乗り越えるべく共通目標として環境問題に対応する枠組みを合意していくことができれば、少なくとも従前よりは持続可能な社会に向けて歩むことが可能になるのではないかと期待される。本稿の趣旨は、環境問題を国際間の共通目標の一つとして導入することの有効性を提案することである。
 このことを検討するために、ゲーミングという技法を使った。ゲーミング技法の利点は、現実世界では希薄にしか感じられない側面を、いわば濃縮した形で体験することにより、現実よりもリアルな、実感を伴った経験をできることである。本稿では、集団間の葛藤と協調のプロセスをシミュレートした仮想世界ゲーム(SIMINSOC; 広瀬, 1997)を用いた研究例を紹介する。
 仮想世界ゲームを用いた研究例から、次の2点が確認された。①相対的に弱い立場にいる地域は、団体でまとまって交渉するなど集合行為によって、肯定的な社会的アイデンティティを獲得する、②世界に共通する環境問題に直面することで、地域の対立を乗り越えて問題解決することが可能となり、このとき、世界全体へのアイデンティティも高まり、地域の対立も乗り越えていける。
 今後、仮想の世界の出来事ではなく、現実世界の出来事としての実証データを蓄積していく必要性が最後に指摘された。

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