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個人の視点に立った経済成長

2008/01/01
鈴木 明彦

 経済が成長しても自分たちは豊かになれないのではないかという疑問が広がっている。経済成長は社会の発展や生活の豊かさの源泉になるはずだが、数字では表せない豊かさもある。マクロの成長と個人が感じる豊かさとの間にギャップが広がっている可能性がある。
 一口に経済成長といっても、誰にとっての経済成長かという点でその内容は異なり、豊かさとの関係も違ってくる。国が繁栄しても、企業が儲かっても、所得が増えなければ個人の豊かさにはつながりにくい。成熟型社会への移行が進むと同時に、経済のグローバル化の波に洗われている今の日本経済では、個人に成長の果実が広がりにくくなっているようだ。企業の視点に加えて、個人の視点にも立った経済成長を考えていく必要がある。
 具体的には、①経済成長率の高さのみを求めるのではなく、持続性のある適度な成長を求め、②個人消費の安定的な増加に支えられたバランスの取れた成長を目指し、③同時に雇用者報酬だけではなくさまざまなパイプを通した企業から個人へのお金の流れを円滑にする、といったことが必要である。
 個人の視点に立った経済成長を実現するためには、経済政策においても、企業の視点と個人の視点双方にバランスの取れたものを考えて行く必要がある。もっとも、国民一人ひとりは今まで以上に厳しい競争にさらされている。自らの価値を高めていく努力をしなければ、個人主導の経済成長は実現せず、自分の所得を増やすこともできないだろう。

調査部
研究主幹
鈴木 明彦

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