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石油にみる資源制約と経済成長

2008/01/01
芥田 知至

 世界経済は資源制約という大きなリスクに直面しているとの見方があり、特に原油の資源制約が問題視されている。原油には代替物が存在するため、物理的な枯渇が問題になる可能性は小さいが、投機や地政学リスクによって価格が一段と上昇すると、経済的に石油を使うことが困難になってくるリスクがある。
 世界経済の現状をみると、原油高の中でも景気は拡大基調を保っており、必ずしも原油高により経済成長が抑制されているわけではない。中国など新興国の高度成長による世界景気の押し上げ、グローバル競争によるインフレ抑制、オイルマネーの還流に加えて、原油価格の上昇テンポが過去の石油危機に比べて緩やかであったことがその背景にある。
 中長期的には産油国の油田開発動向も石油の経済的な枯渇と関係してくる。また、地球温暖化問題への対応として進められている温暖化ガス削減目標の設定は、石油資源を使用する量に制限を設ける新たなタイプの制約である。経済的枯渇や温暖化ガス削減による制約への対応策として、代替エネルギーや省エネルギーの推進がより重要になってくる。
 代替エネルギーや省エネルギーの推進が経済成長に及ぼす影響は、新製品の普及と旧製品の衰退など、正負の両面があると考えられる。新技術や新製品の利用を主導できる企業と乗り遅れる企業との間で格差が生じると思われるが、少なくとも幾多のビジネスチャンスが生じる。原油価格の上昇や環境問題への対応の厳格化は、日本企業にとって必ずしも悪いことではないし、経済成長を抑制するとは限らない。

調査部
主任研究員
芥田 知至

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