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日本の家計貯蓄率の長期的な動向と今後の展望

2009/01/01
中田 一良

 日本の家計貯蓄率は、かつて、世界の先進国の中で最も高い水準にあり、1970年代半ばには20%を超えるまで上昇した。家計貯蓄率が高かった要因としては、人口の年齢構成が若かったことや所得の高い伸びなどが挙げられる。しかし、その後、高度成長期から安定成長期へと移行して所得の伸びが鈍化するのにともない、家計貯蓄率は緩やかに低下してきた。1990年代後半以降は貯蓄率の低下が顕著となり、2007年度には2%台にまで低下している。このような低下の背景には所得の伸び悩みと高齢化の進展にともなう年金受給世帯などの無職世帯の増加が挙げられる。
 今後、高齢化がさらに進展する中で、貯蓄を行う勤労者世帯が減少すると見込まれる一方、貯蓄を取り崩す無職世帯は大幅に増加していく。このため、家計貯蓄率は今後も低下が続くと予想され、2025年にはかなり低い水準になっている可能性がある。これまで企業など資金を必要とする経済主体に対して国内で資金を供給する役割を果たしてきた家計の貯蓄率の低下によって、今後、国内の資金をめぐる環境も変わっていくことが予想される。過剰債務の圧縮などのためここ数年は貯蓄超過となっている企業部門が今後、投資超過へと転じれば、国内の資金供給が細ってくると考えられる。経済成長率の鈍化にともなって資金需要も弱まってくると考えられるが、国内の資金余剰の縮小によって国内資金需給がひっ迫する可能性もあるだろう。これと同時に長期的には経常収支黒字も縮小していくと考えられる。

調査部
主任研究員
中田 一良

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