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世界的金融危機から見つめ直す日本型金融

2009/10/01
杉山 敏啓

 米国のサブプライムローン問題に端を発した金融市場の大規模な混乱は、米欧の大手金融機関の破綻・経営危機を引き起こし、誰もが予想しなかったスピードで、世界的な金融危機へと発展してしまった。米国サブプライム関連商品による直接的な損失は、日本の金融機関においては米欧比、軽く済んだが、その直後には実体経済の急ブレーキによる輸出と設備投資の減少が、日本経済に猛威を振るったのは周知の通りである。
 先進的な金融理論による新しいスキーム(たとえばABS、CDSなど)が、今般の金融危機を引き起こした火種のように言われて批判を浴び、金融・資本市場の機能をフル活用する米国型の金融システムの脆弱性が露呈されたことで、日本の金融システム改革の議論にも少なからぬ影響が及ぶのは必至であろう。
 銀行を中心とした間接金融システムは、戦後日本の経済復興に大きく寄与したと評価されており、日本型経済の特長のひとつに数えられている。しかしながら、経済大国となって久しい現状では時代遅れのシステムであると考えられており、日本版金融ビッグバンに象徴されるとおり、直接金融の機能強化を意図した大規模な改革が図られてきた。
 世界的な金融危機を目の当たりとした今日は、金融システムの将来像を見つめなおす好機でもある。顧客との長期継続するリレーションシップと信頼関係に立脚した、いわば農耕民族的な金融システムには、高い成長性は望めないかも知れないが、安定性・継続性という長所はある。少なくとも米欧化一辺倒の改革路線は、修正されなければならない。

戦略コンサルティング第2部
プリンシパル
杉山 敏啓

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