1. ホーム
  2. レポート
  3. レポート・コラム
  4. 機関誌
  5. 季刊 政策・経営研究
  6. 電力事業におけるコミュニケーション戦略・再考

電力事業におけるコミュニケーション戦略・再考

2011/07/01

 東日本大震災によって引き起こされた福島第一原子力発電所の事故は、総発電量の約3割を原子力に頼る日本のエネルギー政策に対して、改めて見直すきっかけを与えることになった。各電力会社は過去の事故やトラブルを教訓とし、マニュアルの整備を始め、安全管理において幾多の取り組みを行ってきたが、今回の事故により、その対策の再点検を迫られることになる。特に今後は、地震や津波に備える施設基準の見直しに加えて、想定を超えた天災がヒューマンエラーによって人災となってしまう事態を避け、危機に際して情報を適切に伝達するための「仕組みづくり」にも、改めて着手する必要がある。
 当社は震災後に、原発を保有する県(福井県、静岡県、佐賀県)と、原発を保有せずに電力を消費する県(大阪府、愛知県、福岡県、東京都)の住民に対してアンケート調査を行った。本論文では調査結果や過去の事例を基に、ステークホルダー(利害関係者)とのコミュニケーション・プロセスにおける要諦を明らかにし、電力事業者に求められる「統合的コミュニケーション戦略」について考察する。
 原子力発電の運営における重要なステークホルダーは、電力会社社員と、共に働く協力会社社員、そして発電所のある地域の住民、企業を含めた電力の利用者である。新聞やテレビ等の従来メディアに加えて、インターネットを中心とした新たなメディアツールが広がる中で、さまざまな立場の人間が働く発電所内でいかにして重要な安全情報を共有するか、また近隣地域の住民や電力の利用者が、いかに日頃から適切な情報を迅速に入手できるコミュニケーション環境を整備していくかが今後の課題となる。

関連レポート

レポート