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復興に向かって歩みだす日本経済

2011/07/01
小林 真一郎

 2011年の日本経済は年初より回復基調にあったが、3月11日に発生した東日本大震災により状況が一変した。震災直後は、十分な情報が得られなかったこともあって、被害の大きさや景気への影響を判断することが難しい状況であったが、時間がたつにつれて、その被害の大きさが明らかになってきた。そうした状況の中で、本稿では震災後の日本経済について、短期的な動きと中期的な展望に分けて今後の動向を整理したものである。
 景気の短期的な動向を左右する項目としては、①復興需要の大きさ・タイミング、②電力不足と生産・消費への打撃、③原発事故の悪影響、④サプライチェーン寸断の4点が挙げられる。今年度から来年度にかけての日本経済は、電力不足への懸念が残り、原発事故も収拾に目途が立っていない状況ではあるが、公共投資を中心とした復興需要とサプライチェーンの復旧にともなう供給力の回復から、いわゆるV字型の回復を達成しそうだ。
 その後も、中長期的な視点に立って検討していかなければいけない課題が山積されている。中期的な課題としては、①エネルギー戦略の練り直し、②復興の過程における産業政策への関与の方法、③国全体の防災体制や被災地の復興計画のあり方といった国土計画の見直し、④財政再建への取り組み、⑤民間企業の経営戦略の転換、が挙げられる。
 東日本大震災は、人的な被害や民間部門、公的部門でそれぞれ資本ストックの滅失といった甚大な損失はあったものの、マクロ経済だけを見ると、影響は比較的軽微であったかに思える。しかし、電力不足の問題に解消の目途が立っておらず、さらに防災対策の強化、エネルギー戦略の再考など、いくつかの重たい課題は残ったままである。こうした課題にいかに取り組むかによって、その後の日本の針路が大きく変わってくることになるであろう。足元の危機感をバネに、国を挙げてこの難局に取り組んでいく必要がある。

調査部
主席研究員
小林 真一郎

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