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マイナス金利政策を導入する必要があったのか

~必要なのは「デフレ脱却論」からの脱却~

2016/05/06
鈴木 明彦

「マイナス金利付き量的・質的金融緩和」が導入され、日銀当座預金の一部にマイナス金利が適用されるようになった。これを受けて国債利回りは一段と低下して10年の利回りまでマイナス領域に入ると同時に、期間の長い金利ほど大きく低下し、イールドカーブのフラット化が進んだ。マイナス金利政策の効果が大いに出ているというところだが、政策の評判は芳しくない。

まず、日銀当座預金残高を拡大させるという量の目標を掲げながら、同時に、その当座預金残高にマイナス金利を適用するというのは無理がある。また、金融取引の場でも想定外のマイナス金利によって、金融仲介機能や決済機能の円滑な発揮に問題が生じているようだ。さらに、将来に備えて資産を形成していくために必要な、安定的な資産運用先が乏しくなってしまった。

そもそもマイナス金利政策を導入する必要があったのだろうか。デフレを脱却するために非伝統的な金融政策がとられ、ついにマイナス金利政策にまで行きついた。しかし、物価が2%上昇すると日本経済が元気になるというわけではない。それどころか、実質所得が伸び悩んで、個人消費が下振れしてしまうことが懸念されている。だから、消費増税を延期しようなどという意見が出てくるのだ。

目指すべきは、デフレ脱却ではなく、物価が上がりも下がりもしない物価の安定ではないか。2%の物価目標という縛りがなくなれば、マイナス金利政策も量的・質的金融緩和政策も続ける必要がなくなってくる。必要なのは、マイナス金利政策ではなく、「デフレ脱却論」からの脱却だろう。

調査部
研究主幹
鈴木 明彦

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