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デフレとの20年戦争を終わらせよう

2018/08/14
鈴木 明彦

2001年春に始まったデフレとの戦いはすでに18年目に入っている。なぜ終わらないのか。そして、そもそもこの戦いを始める必要があったのか。

デフレとの戦いは政府のデフレ宣言によって始まるが、実際に戦うのは日本銀行だ。デフレ宣言が出ると日銀に対して金融緩和を求める圧力が一気に高まる。09年11月に2度目のデフレ宣言が出され、10年10月には白川総裁の下で日銀は「包括的な金融政策」を決定した。これが黒田総裁の異次元の金融緩和政策につながってくる。

13年4月に黒田総裁は量的・質的金融緩和を導入するが、それに先立つ同年1月の「政府・日本銀行の共同声明」では、政府と日銀が2%の物価目標を含めてデフレ脱却に向けて金融政策の基本方針を共有した。こうして①日銀保有長期国債残高の膨張、②達成困難な物価目標、③中央銀行の独立性の喪失、といった異次元の要素がそろってくる。さらに16年1月には④マイナス金利政策が導入され、4つの異次元の要素がそろった。デフレとの戦いの戦線は一気に拡大していく。

16年9月の「長短金利操作付き量的・質的金融緩和」の導入によって、マネタリーベースと日銀保有長期国債残高の増加ペースが低下し、10年国債金利はプラスに戻った。戦線の拡大が続いていたデフレとの戦いは転機を迎えたことになる。金融政策の正常化に向けて、出口に半歩足を踏み入れたようだ。

デフレとの戦いを終わらせるためには、2%の物価安定目標を見直し、デフレ脱却宣言によって「政府・日本銀行の共同声明」に終止符を打つことが必要だ。緩やかなデフレを容認すれば、デフレと戦う必要はなくなる。

調査部
研究主幹
鈴木 明彦

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