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「魅力ある高校づくり(高校魅力化)」をいかに評価するか

~「高校魅力化評価システム」の開発を事例として~

2019/11/22
喜多下 悠貴 阿部 剛志

【要旨】
■証拠に基づく教育政策・実践の要請に対応した、「高校魅力化」を評価する仕組みの開発
○証拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making(EBPM))に対する要請が高まる中で、筆者らは一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと協働し、高校と地域との連携による、魅力ある高校づくり(高校魅力化)が、生徒の学習環境と、そこで学ぶ生徒の変化を定量的に可視化するための仕組みである「高校魅力化評価システム」を開発し、検証作業を進めている。

■高校魅力化評価システムの調査設計
○高校魅力化評価システムは、生徒及び大人に対するアンケート調査より構成されている。「生徒の学習活動」「地域の学習環境」「生徒の能力認識」「生徒の行動実績」「生徒の満足度」の5つの要素について幅広く尋ねており、地域と高校との連携による高校魅力化を多様な側面から捉え、評価できる設計としている。
○生徒の資質・能力に関する調査項目は、これからの社会で求められる「主体性」「協働性」「探究性」「社会性」の4つの視点を軸に構成されている。主観的な意識の聴取という限界はあるものの、将来的には継続的なデータ取得により、生徒の変化を捉えることを志向している。

■高校魅力化実践校の生徒は、全国の高校生に比べ、社会性に係る意識に大きな差
○高校魅力化評価システムの調査項目を用いて、島根県内の中山間地域・離島に位置する高校魅力化実践校(魅力化校)の生徒と、全国調査における高校生の意識の比較を行ったところ、「将来、自分の住んでいる地域のために役に立ちたいという気持ちがある」という項目に対して、28.6%と、30ポイント近い差で魅力化校の生徒の肯定的回答割合が高くなっている。
○同様に、「難しいことでも、失敗を恐れないで挑戦している」で27.2%、「共同作業だと、自分の力が発揮できる」で23.4%、「問題意識を持ち、聞いたり調べたりする」で11.7%など、主体性、協働性、探究性に係る意識も全国調査に比べて高くなっている。
○今回は簡易的な分析であるため、高校魅力化による効果の同定には一定の留保が必要であるが、大規模調査によって初めて見いだされた高校魅力化の効果に関するエビデンスとして、本調査は非常に重要であると言える。

1.はじめに
・証拠に基づく政策立案(Evidence Based Policy Making(EBPM))に対する要請が高まる中で、教育政策、あるいは学校教育等の教育実践の現場においても、調査データに基づいた意思決定に対するニーズが高まっている。
・EBPMは、内閣府においては「政策の企画をその場限りのエピソードに頼るのではなく、政策目的を明確化したうえで合理的根拠(エビデンス)に基づくものとすること」1と定義している。教育政策、学校教育の現場では、主としてある教育方法やプログラムによる児童、生徒、学生等の教育の受け手の変容(資質・能力の伸びや意識の変容等)を、個別的事例によってではなく、アンケート調査やテスト等の定量的調査手法によって評価し、手段や方法の改善に活かしていくというイメージで、この考え方が受容されているのではないかと考えられる。
・さて、筆者らはこうした潮流に関連し、一般財団法人地域・教育魅力化プラットフォームと協働し、地域と高校との連携による、魅力ある高校づくり(高校魅力化)が、そこで学ぶ生徒に与える効果を定量的に可視化するための仕組みづくり及び検証作業を進めている。本稿では、道半ばではあるものの、その取り組みの経過を紹介するとともに、これまでに蓄積されたデータの分析を通して、高校魅力化による効果の素描を行うことを目的とする。・・・(続きは全文紹介をご覧ください。)

 

1 内閣府HP「内閣府におけるEBPMへの取組」(2019年11月14日閲覧)
公共経営・地域政策部
副主任研究員
喜多下 悠貴
公共経営・地域政策部
主任研究員
阿部 剛志

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