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地域における自治の可能性とその担い手

2010/07/01

 本論では1970年代に登場した、住民参加を基本とし市民的価値観の醸成や社会的連帯の復活を目指す施策“コミュニティ行政”を省みながら、住民自治の鍵となる自治の担い手の登場の過程を特定地域における施策の変遷から検討した。
 調査の対象とした東京都三鷹市は、いち早くコミュニティ行政に取り組み、その充実を目指したが、その試みは80年代に壁にぶつかった。失敗の要因は、住民側に自治実現に向けた能動的行動が見られたにもかかわらず、コミュニティ施設の整備と住民による施設の自主管理に施策の中心が変化してしまったこと、全戸加入や住民総意にこだわったこと、行政側の期待が施策の途中で変質していったこと等にあった。
 90年代に入り、それまでのコミュニティ行政とは一線を画す新たな参加方式「みたか市民プラン21会議」が登場した。この長期計画検討のための大規模市民会議は、三鷹市の予想を超える広がりを見せた。本論ではこの要因として、パートナーシップ協定により市民会議の位置づけが明確であったこと、この結果参加者が提案作成に時間と手間をかけることに積極的な意義を見出したこと、会議を通じて参加者同士の関係性が深化していったこと等を挙げた。
 三鷹市の例は、コミュニティ行政が当初掲げていた目標が、当初の意図とは別の文脈から実現していったことを示している。その差は、担い手である住民自身の意思決定・自己決定が認められるか否か、公的な決定に正当な権限を持って関与できるか否かにある。そしてこれらはコミュニティ行政では決して実現し得なかった事柄なのである。

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